「モデルY」に似たSUVをより安く? シャオペンG6 ロングレンジへ試乗 航続569kmのイイクルマ

公開 : 2024.07.24 19:05

欧州市場でテスラ・モデルYへ勝負を挑む、シャオペンG6 電圧800Vの電動システムを採用 インテリアに強い不満はなし 好印象な回生ブレーキ 充分に使える運転支援 価格はお手頃 英国編集部が評価

モデルYに似た見た目 電圧800Vの電動システム

中国から、また新しい電動SUVがやってくる。車内には大きなタッチモニターが鎮座し、間接照明も備わる。シャオペンというブランドを立ち上げたのは、新興のデジタル技術企業で、欧州への販売計画も野心的に進められている。

このシャオペンG6のライバルになるのは、テスラ・モデルYやヒョンデアイオニック5など。実力車揃いのクラスといえ、もう少し独自性は欲しいところかもしれない。2024年11月には、右ハンドル車も用意されるそうだ。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(欧州仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(欧州仕様)

スタイリングは、モデルYをスリムにしたような印象。全長もほぼ同じ。グレードは3段階が設定され、シングルモーターのスタンダードレンジとロングレンジ、ツインモーターのパフォーマンスという構成で、これもテスラの展開に似ている。

航続距離もモデルYに並び、スタンダードレンジには66kWhのLFPバッテリーを搭載。それ以外には、87.5kWhのNMCバッテリーが積まれる。

G6の強みとなるのが、ポルシェタイカンやアイオニック5などと同様に、電圧800Vの高性能な電動パワートレイン技術を実装すること。急速充電能力はかなり高速で、66kWhでは最大215kW、87.5kWhでは最大280kWまで対応する。

残量10%から80%までの充電に要する時間は、最短で20分。最近は、かなり短くなったと実感できる。

数10万円安い価格 車内に強い不満はなし

英国価格は発表前だが、オランダの価格で比べると、モデルYより数1000ユーロ(数10万円)安い。しかもテスラと異なり、20インチ・ホイールもホワイトのインテリアも標準価格で選べる。ボディの塗装は、800ユーロ(約13万円)で変更可能だ。

テスラに似た見た目で、似た性能を持つバッテリーEVが、だいぶお安く買えるというわけ。具体的には、スタンダードレンジで3万6320ポンド(約726万円)相当。パフォーマンスでは4万3925ポンド(約879万円)相当となる。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(欧州仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(欧州仕様)

安いなりに製造品質が劣るのでは?とお考えかもしれないが、そうでもない。インテリアは、シンプルで記憶に残るデザインではないとしても、強い不満は感じなかった。多くのユーザーにとって、納得できるレベルだろう。

車内の雰囲気は、モデルYのマイナーチェンジ後といった感じ。ソフトな人工皮革が広範囲に用いられ、小物入れはふんだん。ドアミラーの角度調整まで集約された、大きなタッチモニターがダッシュボード中央に据えられる。

走行速度や航続距離などが表示される、小さなメーター用モニターも運転席の正面にある。英語の表記や、ユーザーインターフェイスも悪くない。ショートカットが並ぶメニューバーが常時表示され、多くの機能は2度のタップでアクセスできる。

アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも対応予定。ソフトウエアのアップデートが控えているそうだ。

車内空間は、モデルYより狭い。フロントのボンネット下に収納空間はないが、アイオニック5と同等といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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