クルマの「怒り顔」 20選 意外と好印象? 不機嫌そうに見えるデザイン

公開 : 2024.06.30 18:05

MG ZT

2001年、MGローバーは中間管理職御用達のローバー75を大改造し、一種の強壮剤を打ち込んだ。こうして誕生したMG ZT(ZT-Tというステーションワゴンもあった)は、大径ホイール、強化されたサスペンションとブレーキ、そして突き抜けたデザインが特徴だ。

標準のローバー75のフロントグリルはクロームのアウトラインを持つが、ZTではボディ同色のトリムに変更された。これによってグリルからボンネットの斜めのエッジに焦点が移り、切り取られたライトがより威嚇的に見えるようになった。小さな変化が自動車デザインに大きな違いをもたらすのだ。

MG ZT
MG ZT

フォード・エスコート(初代)

1967年にフォード・アングリアの後継として登場したエスコートは、従来車をまさに前時代的に見せ、瞬く間にセンセーションを巻き起こした。ボディサイドは超スリックで洗練されており、キャラクターラインと蹴り上げるようなリアハンチの流れは、当時世界を席巻していたアメリカン・マッスルカーを彷彿とさせる。

角ばったフロントエンドとリアエンドがパンチの効いた外観に拍車をかけ、特にこの写真のメキシコモデルでは、ワイドにセットされたダンベル型グリルが険しい表情を与えている。

フォード・エスコート(初代)
フォード・エスコート(初代)

シボレー・ロンディーネ・コンセプト(1963年)

シボレーは1960年代初頭、伝説的なイタリアのデザイン会社ピニンファリーナに、第2世代コルベット(驚異的な分割リアウィンドウを備えたスティングレイ)のシャシーをベースに「ロンディーネ(Rondine)」というワンオフ車を製作するよう依頼した。

スティングレイはフェンダーに波打つような筋肉を備えているが、ロンディーネは非常にスマートで、攻撃的な印象はほとんどない。ただし、フロントエンドを除いて。ロンディーネのボンネットの縁はスティングレイよりも角度がつけられ、前傾したグリルは獲物を引き裂くかのようだ。流麗なボディととらえどころのない顔の組み合わせは、不穏な美しさを生み出している。

シボレー・ロンディーネ・コンセプト(1963年)
シボレー・ロンディーネ・コンセプト(1963年)

VLFフォース1

2016年に登場したVLFフォース1(VLF Force 1)は、アストン マーティンの元デザイナーであるヘンリック・フィスカー氏によって設計された。ベース車がロングボンネットのダッジ・ヴァイパーであることから、獰猛な外観になることは運命づけられていたのかもしれない。

巨大なリアフェンダーとウィンドウラインの激しいフリックが圧倒的なパワーを感じさせ、フロントのアングルと極端に小さなライトが相まって、この上なく不敵な笑みを形成している。

VLFフォース1
VLFフォース1

50台の生産が計画されたが、実際に生産されたのは5台だった。フィスカー氏はその後、新企業フィスカーを立ち上げ、オーシャンをはじめとするEVラインナップの展開を目指したが、現在は厳しい状況に直面している。

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事