色々許せちゃう多能ぶり! スズキ・イグニスへ英国試乗 オフロードタイヤなら悪路も得意

公開 : 2024.07.06 19:05

英国唯一のウルトラ小型SUV、スズキ・イグニス 出色のコスパと実用性で、優れない内装や乗り心地を許せる 動力性能は平均点でも素晴らしい燃費 実は優れる悪路性能 英編集部が評価

英国唯一のウルトラ・コンパクトSUV

小さな都会派SUV、スズキ・イグニス。全長3700mm、全幅1690mmと小さなボディに、オプションで四輪駆動も設定され、最低地上高はしっかり確保。どろんこ遊びが大好きな、ブルドッグのような見た目の可愛いクルマだ。

英国では、市場唯一のウルトラ・コンパクトSUVだと、スズキは主張する。2020年に小改良が施され、新しいフロントグリルとアウトドア感の強いボディカラーが追加された。そして2023年にも、僅かに手が加えられている。

スズキ・イグニス 1.2デュアルジェット・ハイブリッド SZ5 オールグリップ(英国仕様)
スズキ・イグニス 1.2デュアルジェット・ハイブリッド SZ5 オールグリップ(英国仕様)

見た目と裏腹に、車内空間は広い。季節を問わず移動が不可欠な人にも、都会での運転を安楽にこなしたい人にも、実用的で高効率な小型車をお探しの人にも、実はイグニスはぴったり。魅力は少なくない。

プラットフォームは、ハッチバックのスイフトと同じハーテクトと呼ばれるもの。コンパクトさが手伝い、車重は四輪駆動でも1tを余裕で切る。

ベーシックな英国仕様に載るパワートレインは、1.2L 4気筒ガソリンと5速MTの前輪駆動。必要ならCVTへ変更できる。

このエンジンは、2020年にデュアルジェットのK12D型へアップデート。電圧12Vのマイルド・ハイブリッドで、駆動用バッテリーの容量も僅かに増え、燃費効率を高めた。

コイルスプリングが支えるサスペンションは、前がマクファーソンストラット式で、前輪駆動では後ろがトーションビーム式。スズキがオールグリップと呼ぶ四輪駆動では、リアがリジッドアクスルになる。

安っぽい内装を忘れさせるパッケージング

以前のフェイスリフトでは、新しい防音材を追加。テールゲートとルーフ、フロア、サスペンションマウント部分に補強材を与え、剛性が高められた。乗り心地や走行時の質感を、改善するために。

見た目と裏腹に、イグニスには大人4名が快適に座れる空間がある。運転席の調整域は広く、直立気味だが、良好な運転姿勢を探せる。後席側も上下方向に充分な高さがあり、天井の圧迫感は小さい。

スズキ・イグニス 1.2デュアルジェット・ハイブリッド SZ5 オールグリップ(英国仕様)
スズキ・イグニス 1.2デュアルジェット・ハイブリッド SZ5 オールグリップ(英国仕様)

荷室は前輪駆動で260L。四輪駆動では204Lへ小さくなる。リアシートはスライド可能で、50:50の分割で折りたためる。

確かに、インテリアの素材は安っぽい。だが優れたパッケージングと開放感で、それを忘れさせる。ツートーンのダッシュボードは、見た目も悪くないだろう。センターコンソールのパネルは押すと変形するが、全般的に耐久性は高いようだ。

エアコンの操作パネルは、実際に押せるハードボタン。ヒルディセント・コントロールと四輪駆動システム、運転支援システムにも、それぞれボタンやダイヤルが設けられ、扱いやすさは間違いない。

インフォテインメント用のタッチモニターは備わるものの、反応はいまひとつ。そのかわり、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応している。ステアリングホイールには、オーディオ用のボタンがあり便利だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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