マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り

公開 : 2024.06.29 20:25  更新 : 2024.06.30 13:00

スーパーカーの水準を引き上げた720S、その後継モデルはパワフルなエンジンとハードなシャシーで走りを強化した反面、先代の美点だった快適な乗り心地は影を潜め、スーパーカー市場における独自性が薄らいでしまいました。

はじめに

マクラーレン720Sのような高い信頼性と評価を得たスーパーカーは、会社として変革してきたこの数年間のウォーキングではとても心強い存在だったに違いない。しかし今、大胆な技術を用いながら初期にさまざまなトラブルが重なったアルトゥーラが改良を遂げた。マクラーレン・オートモーティブの首脳陣も2022年以降大幅に顔ぶれが変わったが、より安定したように思える。財務改善のため、株主とも折り合いをつけてきた。

ここからは前途洋々だろう。さらなる高級路線の開拓やライフスタイル系モデルのコンセプトはやることリストに残っているが、それらも自信を持って進められる。

テスト車:マクラーレン750Sクーペ
テスト車:マクラーレン750Sクーペ    JOHN BRADSHAW

いっぽうで、マクラーレンの主流にして傑作モデルの720Sも、次のステップへ進むときが来た。シンプルなカーボンタブのミドシップマシンが、改良を受けたモデルが今回のテスト物件だ。

競合モデルにプラグインハイブリッドが増える中、この750Sは反対の道を選んだ。さらなるパフォーマンスやハンドリングといった走りの魅力を追求するのに、軽さやアジリティ、ダウンフォース、メカニカルグリップ、そして操縦系のフィードバックといった要素を磨き上げる方法を取った。

モデナやサンタアガタのようなハイブリッド化をしないことで、重量増加や複雑化を避けたのである。マクラーレンは、純粋主義的スーパーカーファンや走りにこだわるドライバーへの訴求力をアップし、ライバルに対するアドバンテージを強調しようとしてきたのだ。その作戦は功を奏しているのだろうか。確かめていこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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