マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り

公開 : 2024.06.29 20:25  更新 : 2024.06.30 13:00

結論 ★★★★★★★★☆☆

なぜ750Sがこのようなクルマになったのかを理解するには、前後関係がカギになる。2017年に登場した先代の720Sが、スーパーカーのパフォーマンスのベンチマークを大きく引き上げた。それだけに現在のマクラーレンは、7年前とは違って、断然優勢というわけではないのが明らかだ。

けれども、マクラーレンによるこのクルマのポジション見直しやその考え方に同意できるなら、ちょっとばかりのパフォーマンス不足は重要ではない。アルトゥーラという新たな日常使いできるモデルが加わったウォーキングのモデルレンジにおいて、750Sはこれまでよりも多少特別で、上位移行して、ハードコアなものにならざるを得なかった。720Sのオーナーに対するフォローとしては、よりスパイシーで能力が高く、複雑さを増した難題を提供するというのも筋が通っている。

結論:マクラーレンの新たな大黒柱は、ちょっとじゃじゃ馬なところがあり、それがマイナスにはたらいている。
結論:マクラーレンの新たな大黒柱は、ちょっとじゃじゃ馬なところがあり、それがマイナスにはたらいている。    JOHN BRADSHAW

われわれとしては、先代にあったようなロードゴーイングカーとしての懐の広さが欠けているのはマイナス要素だと考える。いっぽうで、サーキットマシンとしての上積みはわずかだし、その実効性は議論の余地がある。

しかし、少なくともこれは、売れ筋モデルではリスクを冒さないことで知られるメーカーが放つ、ワイルドで好ましい取り組みだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

このクルマの自信は愛すべきものだ。電動化するライバルのプレッシャーにさらされる中で、マクラーレンのかつてのスーパーシリーズはみごとなステップアップを果たしている。アナログ感への敬意があり、金銭や努力、想像力を注ぐ価値があると感じさせてくれる誠実でシンプルな有望株だ。

マット・ソーンダース

サーキットを走ると、フロントからは積極性や切れ味、フィールがコンスタントに伝わり、リアから伝わるブーストやトラクション、タイヤのスリップは不明瞭。このコントラストがみごとだ。

オプション追加のアドバイス

マンティスグリーンのような明るいボディカラーがいい。ブラックパッケージやカーボンエクステリアは避けたい。サーキット走行を頻繁に行うのでなければ、パフォーマンスインテリアに明るい色調のトリム、コンフォートシートの組み合わせがおすすめ。

改善してほしいポイント

・720Sでみせた、マクラーレンらしい乗り心地のよさを、多少なりとも取り戻してほしい。
・サーキット走行時、低速寄りのコーナーでの限界域で腰砕けになるところは、是正を望みたい。
・打倒フェラーリを実現するべく、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rの設定を。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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