マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
公開 : 2024.06.29 20:25 更新 : 2024.06.30 13:00
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
マクラーレンによれば750Sは、先代720Sに対し30%の部品を刷新しているという。外観では、エアインテーク内へ落ち窪んだヘッドライト周りの下に、長さを増したフロントスプリッターが備わる。サイドでは、大型化し、数も増したエアインテークが、シルや後輪アーチ周りに設けられた。リアでは、デッキが伸び、ウイングが大型化。中央には、ステンレスのエキゾーストが鎮座する。
このエキゾーストも含め、720Sに対して30kgもの軽量化を実現したという750Sの公称重量。標準仕様の実走状態で1400kgを切り、オプションの選択内容によっては1300kg以下まで引き下げることも可能だという。これは、電動化により1500kgに近づいたフェラーリ296GTBと比べれば、軽さが際立つ。
ちょっと残念だったのは、テスト車が実測1412kgに達していたこと。ガソリン量はタンクの1/3で、重量優先の仕様ではなかったが、軽量化オプションはいくつか装備されていた。それでも、2022年に同じような条件で計測した競合するフェラーリは、1648kgに達したのだが。現在の基準からすれば、十分に軽いスーパーカーだと言える。
油圧系を相互接続し、スタビライザー代わりに用いるプレディクティブシャシーコントロール(PCC)は再調整され、フロントをソフトに、リアをハードにしたコイルスプリング、さらにアダプティブダンパーを組み合わせている。フロントのトレッドは720Sより6mm拡幅され、実質的にフロントのスプリングレートをさらに下げている。ホイールジオメトリーも見直された。電動油圧式パワーステアリングラックはよりクイックになり、さらにパワフルな新型ポンプを採用している。
エンジンルームには、765LTのM840T型から軽量ピストンを受け継いだ4.0LツインターボV8を搭載。ブースト圧を720Sより高め、最高出力は30psアップの750ps、最大トルクは2018年にテストしたアルティメットシリーズのセナと同じ81.6kg-mを発生する。
トランスミッションは7速DCTで、ファイナル比はショートに。エンジン性能向上と合わせて、加速性能アップが見込まれる。
セナ由来のカーボンセラミックブレーキは標準装備だが、スペシャルなディスクやキャリパー、サーボアシストシステムもオプション設定される。テスト車には、これが装備されている。
エンジンとギアボックス、アクスルやステアリングのマウントは720Sより硬いものになり、操縦系のフィードバックを高めている。