マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
公開 : 2024.06.29 20:25 更新 : 2024.06.30 13:00
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
750Sのハンドリングは速度域を問わず、すばらしい感触で没入できる。この点では、もし720Sがややマイルドで万人受けするものだとしたら、後継モデルはそうではなくなっている。
コミュニケーションは、720Sより鮮明だが、まったく方向性の違うものではない。クイックになったステアリングは、より直観的な手応えとダイレクトな感触をもたらすが、レスポンス過剰に感じることは決してない。ボディコントロールには刺激や弾性が増していて、公道での乗り心地は体感的に720Sより20〜30%くらい硬く思える。
しかしながら、720Sはそのしなやかな乗り心地が最大の美点であり、大きなマージンは残しながらも、ワインディングなどでの走りを高めるのと引き換えに、750Sの乗り心地は硬いと感じるものになっている。ひどく張りつめたものにはなっていないが、十分にそこを避けることができているとは言えず、遮音には一般的なマクラーレンよりアルティメットシリーズに近い粗さもある。
しかし、ワインディングではマクラーレンらしい独自性がある。異常なほど正確で直観的なフィールの操舵系が、四輪とも精密なライン取りを可能にし、シャシーの幅を楽に扱えるようにしてくれる。それはとにかく正確で、安定して俊敏なハンドリングバランスにもつながり、急激に向きを変えることも、もたつくこともない。
決定的なのは、720Sほどではないものの、公道での速度域でみせるボディコントロールのなめらかさだ。轍にタイヤを取られたり、バンプステアが出たりすることはたまにあるが、スーパーカーの基準に照らせば問題になる程度ではない。もっとヴィヴィッドな動きが好みであれば、物足りないとさえ思うかもしれない。