NA V8サウンドを全身で浴びる フェラーリ360 モデナ/スパイダー/チャレンジ・ストラダーレ(2) 今が狙い時!

公開 : 2024.07.14 17:46

スーパーカーの新基準を打ち立てた、360 アルミ製スペースフレームにF1マティック 極上のNA V8サウンドを全身で浴びる 歴代で最も普段使いしやすかったフェラーリを英編集部が振り返る

ソウルフルな咆哮 即時的なパワー

フェラーリ360 モデナの乗り心地は多少硬めだが、流れの速い区間に出れば、しなやかさが増す。軽快でありながら、安定している。ボディは剛性の高さを醸し出し、サスペンションからカタカタとノイズが出ることもない。

ステアリングは正確に反応し、手のひらへ伝わる感触も豊か。最近のフェラーリと異なり、直進時の神経質さもない。

フェラーリ360 スパイダー(2000〜2005年/英国仕様)
フェラーリ360 スパイダー(2000〜2005年/英国仕様)

ストロークの長いアクセルペダルを積極的に傾ければ、フェラーリらしく、3.6L V型8気筒エンジンのソウルフルな咆哮が放たれる。即時的にパワーが湧出し、ユニットの緊張感が伝わってくるが、洗練されてもいる。

ターボチャージャーで過給されるように、低回転域からたくましい。クレッシェンドしていき、最高出力に達したと思ってタコメーターを見たら、まだ6000rpmだった。

F1マティックは、スポーツ・モードへ切り替えると流暢に仕事を始める。7000rpm以上なら、0.15秒で次のギアを選ぶとか。シフトダウン時には、ブリッピング機能が働く。このモードではダンパーも引き締まり、一層の興奮を誘える。

シルバーストン・サーキットへ戻り、クリス・ハイゲンボッタム氏の360 スパイダーへ乗り換える。レッドのボディに、オープンゲートが切られた6速MTは、フェラーリのイメージ通り。F1マティックより多少ラップタイムが遅くても、許せるだろう。

バレエダンサーのように流暢なソフトトップ

スパイダーの発表は、2000年3月のスイス・ジュネーブ・モーターショー。フェラーリ初となる、全自動ソフトトップを背負い、サイドウインドウを下ろした状態で、20秒で開閉可能だった。

ソフトトップの動きは、バレエダンサーのように流暢。ボディと同色に塗られたクラムシェル・カバーの下へ見事に折り畳まれ、ロールバー後方に2本の峰が立ち上がった、美しい後ろ姿を生み出している。

フェラーリ360 スパイダー(2000〜2005年/英国仕様)
フェラーリ360 スパイダー(2000〜2005年/英国仕様)

ロールバーとその間には、ガラス製のウインドディフレクターが備わり、風圧による共振音を低減してくれる。エンジンカバーのガラスを介して、真っ赤に染められた吸気システムを鑑賞できる。

当時のフェラーリは、モデナからの妥協は殆どないと主張した。だが、シート後方の収納空間は狭くなり、ゴルフバッグは積めない。エンジン前方にクロスメンバーが追加され、フロントガラス周辺も強化され、ソフトトップを含めて車重は60kg増えている。

それでも、動力性能はほぼ変わらず。最高速度は289km/hがうたわれ、0-100km/h加速は4.6秒でこなした。英国価格は、モデナより6000ポンド高かった。

実際にステアリングホイールを握れば、これくらいの代償は払う価値があるとわかる。ハイゲンボッタムはこの360 スパイダーで、欧州のF1レース観戦を楽しんでいるそうだが、オープン時でも車内は無風に近く、ソフトトップを閉めれば平穏だと話す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ360 モデナ/スパイダー/チャレンジ・ストラダーレの前後関係

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