大型SUVの概念をひっくり返す! ベントレー・ベンテイガ UK中古車ガイド 維持費を背負う価値アリ

公開 : 2024.07.09 19:05

大型SUVの概念を覆した、ベンテイガの登場から間もなく10年 秀抜な完成度のW12エンジン 経済的なV8ディーゼルターボ 相応の維持費にも納得? 英編集部が中古車で魅力を再確認

世界で最も秀抜な完成度のW12エンジン

英国の名門、ベントレーが大型SUVを発表してから、間もなく10年が過ぎる。実際に販売がスタートしたのは2016年からだが、そんな初期型の中古車は5万ポンド(約1000万円)前後で狙えるようになった。

もちろん整備費用はかかるし、税金も高額ではある。最高出力608psを発揮する、6.0L W型12気筒エンジンを搭載したベンテイガの燃費は、6.5km/Lくらい。英国では、年間700ポンド(約14万円)の道路税も徴収される。

ベントレー・ベンテイガ(2016年〜/フェイスリフト前/英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ(2016年〜/フェイスリフト前/英国仕様)

それでも当時のAUTOCARは「W12エンジンは世界で最も完成度の優れた」ユニットとして称賛した。1度味わいたいと考えても、不思議ではない。車重2.4tの巨体を、静止状態から100km/hまで4.0秒で加速させる力持ちだ。

アダプティブ・エアサスにアクティブ・アンチロールなどが標準装備で、多彩なドライブモードが実装され、高速域でも安定しきり。限界領域へ迫ると、落ち着きが若干薄れるようだが。

2017年に、4.0L V8ディーゼルターボが登場。これもAUTOCARの評価は高かった。アウディ由来のユニットで、最高出力は435ps。W12エンジンと同等のトルクを低い回転数で発揮し、中間加速はより鋭い。

車重はW12版より重いが、サスペンションは専用設定で乗り心地も上質。燃費は12.4km/Lと、車格を考えれば優秀だし、3.5t以下のトレーラーも牽引できる。

V8ディーゼルターボの新車価格は、W12版より約2万5000ポンド安かったが、販売数は多くなかった。しかし、中古車となった今では経済性が評価され、同等の金額で流通している。

大型SUVの概念を覆したベントレー

4.0L V8ガソリンツインターボは、2018年に登場。550psを発揮し、0-100km/h加速を4.5秒でこなした。気筒休止機能が備わり、燃費は8.8km/Lとまずまず。

こちらも、W12エンジンより3万ポンドほど安く、AUTOCARはそれに代わる実力があると評価した。スポーティなV8 Sは珍しいが、探す価値はあるだろう。2019年には、総合449psを発揮する、3.0L V6ガソリンのプラグイン・ハイブリッドが登場した。

ベントレー・ベンテイガ(2016年〜/フェイスリフト前/英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ(2016年〜/フェイスリフト前/英国仕様)

W12エンジンの高性能版、635psのスピードも同年に追加。「史上最速の量産SUV」の称号が与えられた。現行型へ通じるフェイスリフトは、2020年に実施されている。

ベントレーだから多様な仕様が用意され、4シーターから7シーターまで指定できた。荷室容量は5シーターなら484L、7シーターなら215Lとなる。乗り心地はすこぶる快適。ロングホイールベース版なら、車内空間に一層のゆとりが生まれる。

最初期の608台は、豪華なW12ファースト・エディション仕様に限定された。W12マリナーは2017年に設定されている。オプションは極めて多彩だから、中古車選びでは慎重に確認したい。

アダプティブ・クルーズコントロールとナイトビジョン機能が付くツーリング・パッケージや、スキッドプレートとサラウンドビュー機能が付くオールテレイン・パッケージは人気。運転支援が強化される、シティ・パッケージも用意された。

大型SUVの概念を覆したといえる、ベンテイガ。相応の維持費は必要だが、それを背負う価値を実感できるモデルだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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