プリウスに嫉妬した男 「ボブ・ルッツ」が携わった名車・迷車 25選 BMW、GMで活躍

公開 : 2024.07.06 18:05

ダッジ・ラム(1994年)

第2世代のラムは、先代とはまったく異なるアグレッシブな外観を持つ。ルッツ氏によれば、当時のクライスラーフォードやGMとの激しい競争に直面し、フルサイズ・ピックアップトラックから撤退するよう助言を受けていたという。

しかし、ラムは「大胆で、異彩を放ち、賛否両論を巻き起こすデザイン」と、強力なエンジン出力、トルク、最大積載量で印象を強め、大ヒットを飛ばした。以降、同じ方式が30年間使われてきた。今日のラム・トラック(2010年にラムが別部門となったため、ダッジの名は外れた)には、ルッツ氏が深く関わっていた頃と同じ理念が目に見える形で受け継がれている。

ダッジ・ラム(1994年)
ダッジ・ラム(1994年)

クライスラーPTクルーザー(2001年)

PTクルーザーが発表されたとき、レトロデザインの流行はすでに始まっていた(フォルクスワーゲンの「ニュー」ビートルも1997年後半に発表されていた)が、ルッツ氏はクライスラー社内で大きな反発を受けたという。

ルッツ氏はクライスラーの重役という立場から、同社の行動にある程度影響を与えることができたが、「社内で徹底的に嫌われていた」というレトロデザインを押し通すためには「わたしのできる力をすべて」注がなければなからなかったようだ。

クライスラーPTクルーザー(2001年)
クライスラーPTクルーザー(2001年)

シボレーSSR(2003年)

ルッツ氏は30年以上他社に勤めた後、GRに戻ってからもレトロデザインを推し続けた。シボレーSSRは、分類するならばリトラクタブル・ハードトップ・コンバーチブル・ピックアップトラックで(誰が欲しがるのか?)、GMのSUVに使われるプラットフォームをベースに、1940年代後半から1950年代半ばまで販売されていたシボレー・アドバンス・デザインに似せて作られた。

「もちろん、きちんとしたものでなければならない」とルッツ氏は開発段階で語っている。どうやら、SSRはそうではなかったようだ。SSRの売れ行きは芳しくなく、2006年モデルを最後に廃止された。だが、それでもルッツは再挑戦を止めなかった。

シボレーSSR(2003年)
シボレーSSR(2003年)

GMCエンボイXUV(2004年)

XUVは、エンボイにリトラクタブル・ルーフを装着した奇抜な派生モデルである。ルッツ氏はこのクルマの発売を止めようとしており、そのために「何度も試行錯誤を繰り返した」と後に書いている。

「後方から見ると、そびえ立つウェディングケーキのように見え、倒れることはわかっていた。しかし、マーケティング部門と商品企画部門は、これがセンセーショナルな勝者になると信じていた」

GMCエンボイXUV(2004年)
GMCエンボイXUV(2004年)

結局、XUVはセンセーショナルでも勝者でもなかった。買いたい人が少ないという単純な理由ですぐに販売中止となった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事