遂に「楽しい」電動スポーツ生誕! ロー&ワイドなボディにシザーズドア 新MGサイバースターへ試乗 

公開 : 2024.06.27 19:05

MGの100周年を記念すべく誕生した、電動ロードスター ロー&ワイドなフォルムにシザーズドア 全開時は一瞬混乱するほど強力なGT 今後も運転を楽しめると確信 英編集部が評価

ロー&ワイドなフォルムにシザーズドア

MGの創業は1924年に遡るが、2005年以降は中国資本へ変わり、MG TFの生産終了後はスポーツカーと縁遠いブランドになっていた。しかし、100周年を節目に2シーターのロードスターが復活した。電動パワートレインを積み、比較的お手頃な価格で。

サイバースターの着想は、2017年。ロンドンのデザインチームが、MG Bの現代的な姿を描いたことがキッカケだった。当初は自主的なプロジェクトで、COVID-19の流行により、開発中止へ追い込まれそうな危機もあったという。

MGサイバースター GT(英国仕様)
MGサイバースター GT(英国仕様)

ところが、上海モーターショーへ出展されたコンセプトカーの反響を知り、MGを傘下にするSAICモーターの会長は即座に量産化を決断したとか。市民が声をあげることは、重要なのだ。

スタイリングを担ったのは、カール・ゴッサム氏。クラシックなスポーツカーのプロポーションでありつつ、明確な電気自動車としてのメッセージを表現することが目指された。

全長は、マツダMX-5(ロードスター)より500mm以上長い、4535mm。全幅は1913mmもあるが、デザイナーの狙いは成功したように見える。フォルムはロー&ワイド。バッテリーEVにありがちな、腰高感は回避できている。

これを叶えたのが、厚みが110mmしかない駆動用バッテリー。ホイールベース間に収まり、オーバーハングも短い。

実際、現代版のMG Bには見えないとしても、電動スーパーカーのようには映るはず。シザーズドアを備え、リアは大きなディフューザーで持ち上げられている。矢印に光るウインカーも悪くない。

ベースグレードは後輪駆動で339ps 四駆は510ps

英国価格は、約5万5000ポンド(約1100万円)から。高コストなバッテリーEVで、この値段を叶えたことへ驚かずにいられないが、既存技術が巧みに流用されている。

プラットフォームは、同じMGのクロスオーバー、4 EVと共有。駆動用モーターも同一だという。ステアリング・システムはボッシュ社、ブレーキはブレンボ社とコンチネンタル社による共同開発。タイヤは、バッテリーEV用のピレリPゼロを履く。

MGサイバースター GT(英国仕様)
MGサイバースター GT(英国仕様)

開発テストは、グレートブリテン島でも積極的に実施された。パワートレインや運転支援システムだけでなく、乗り心地や操縦性も、しっかり煮詰められたようだ。

英国の技術者は、低いシートポジションに調整可能なランバーサポート、ワンペダルドライブ・モードの必要性、ウインドディフレクターの有効性、ゴルフクラブが入る荷室の重要性を提案。それらが盛り込まれた。

それでも着座位置は高めで、駆動用バッテリーの上に乗っている感じは否めない。180cm以上の身長では、走行時に風の巻き込みをかなり感じるようでもある。

ベースグレードとなるサイバースター・トロフィーは、後輪駆動のシングルモーター。最高出力は339ps、最大トルクは48.3kg-mを発揮し、価格で並ぶポルシェ718ボクスターより僅かに力強い。

5000ポンド(約100万円)ほどお高いサイバースターGTは、フロント側にも駆動用モーターが追加される四輪駆動で、510psと73.8kg-mへ上昇。0-100km/h加速は3.2秒で、動力性能も電動スーパーカーと呼べる水準にある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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