デロリアンDMC-12、現代EV技術で蘇る 218馬力、航続距離240kmの「電動スポーツカー」へ

公開 : 2024.06.28 06:05

英国のレストモッド企業がデロリアンDMC-12向けの電動コンバージョンキットを公開。「期待外れ」なV6エンジンを電気モーターに置き換え、最高出力218psを発生。0-100km/h加速は5秒台に。

名車をEVにレストモッド

大人気映画への登場で一躍有名になった「デロリアン」を、ガソリンエンジン車から電気自動車(EV)へと改造するキットが公開された。

英国のレストモッド企業エレクトロジェニック(Electrogenic)は、デロリアンDMC-12向けのコンバージョンキットを発表した。オリジナルの構造を維持しながら、現代の技術によって強力な「スポーツカー」へと変身させるという。

エレクトロジェニック社の「デロリアンDMC-12」向けコンバージョンキット
エレクトロジェニック社の「デロリアンDMC-12」向けコンバージョンキット    エレクトロジェニック社

エレクトロジェニック社はこれまで、シトロエンDS、ランドローバーディフェンダージャガーEタイプなどクラシックカーの電動化コンバージョン(エレクトロモッドとも呼ばれる)を開発してきた。

今回のDMC-12用のキットは「ドロップイン」式で、改造後に再びガソリン車に戻すことができるとされている。

デロリアンDMC-12は、1981年から1982年にかけて米国のデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が生産したスポーツカー。最高出力130~150psの2.8L V6エンジンを搭載し、無塗装ステンレスボディを特徴とする。しかし、エンジンの信頼性に悩まされ、経営陣のスキャンダルもあって同社が倒産し生産終了となった。約8000台が生産されたと言われ、現在も世界各地で数多くのファンを持つ。

コンバージョンキットでは燃料タンクの代わりに43kWhの駆動用バッテリーをリアに搭載し、リアアクスルに電気モーターを組み込む。モーターは最高出力218ps(160kW)と最大トルク31.6kg-mを発生し、0-100km/h加速タイムはオリジナル車の約半分となる5.0秒を達成する。

まだ、同社のモデルとして初めてローンチ・コントロールを搭載する。

キットはデロリアンDMC-12に取り付けることができる。MT車、AT車にいずれにも適用可能で、車両重量はわずか40kgしか増加しない。

1回の充電での航続距離は150マイル(約240km)とされ、調整可能な回生ブレーキを備えている。2種類の走行モード「エコ」と「スポーツ」があり、スポーツモードではスロットルレスポンスを鋭くし、ステアリングに重さを加える。

最大充電速度は提示されていないが、CCS急速充電器で「1時間以内」にフル充電できるという。

購入者の希望に応じて、アップル・カープレイや改良型エアコン・システムのほか、走行モード、バッテリー使用量、充電状態を表示する特注のバーチャル・ダッシュボードを追加することができる。

コンバージョンキットの価格はドナー車の状態や、取り付け作業を行うエレクトロジェニック社のパートナー企業の設定によって異なるが、同社によると英国では6万5000ポンド(約1320万円)から8万5000ポンド(約1720万円)で、これに地方税が加算される。

エレクトロジェニック社のスティーブ・ドラモンドCEOは、次のように語っている。

「(DMC-12は)40年以上経った今でも衝撃的なSFチックなデザインと期待外れなエンジンを備えており、電気駆動へのコンバージョンに最適です」

「今回 “プラグ・アンド・プレイ” のコンバージョンパッケージを世界に公開できることを嬉しく思います。当社独自の技術を用いて社内開発されたもので、DMC-12の未来的なフォルムにふさわしいスポーツ性能を実現します」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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