奇抜過ぎる東欧諸国のクルマ 17選 「共産圏」独特の風味を持つ名車・迷車

公開 : 2024.07.07 18:05

マルシャB1(2009年)

ヴァージン・レーシングを引き継いだマルシャ(Marussia)は、F1ファンにはおなじみの名称だろう。2008年、ロシアに本拠地を置くマルシャは、フェラーリ458から市場シェアをかっさらうべく作られた新型スーパーカー「B1」を発表した。

エンジンのチョイスがちょっと奇妙だった。ベースモデルでは最高出力300psの3.5L V6を搭載するが、2.8L V6ターボでは最高出力310psまたは425psの2種類の仕様が用意された。

マルシャB1(2009年)
マルシャB1(2009年)

車両重量はわずか1100kgと軽量で、フェラーリ458のパワーウェイトレシオを凌ぐ。2009年に「B2」が登場したが、泣かず飛ばずでマルシャは2014年に倒産した。

トラバント601(1964年)

ドイツといえば高級車のイメージがあるが、601は真逆の存在だ。トラバント601は東ドイツにおける個人の交通手段であり、安価で経済的だった。長年にわたり、共産主義の象徴となっただけでなく、世界中でカルト的な人気を集めた。

最高出力21psの2気筒2ストロークエンジンは、古典的な混合給油式となっている。車両車重は600kgをわずかに超える程度で、ボディはリサイクル綿を使った繊維強化プラスチック製だ。ボディが錆びないおかげで、比較的多くの車両が現存している。

トラバント601(1964年)
トラバント601(1964年)

ウルス・セナート(2018年)

ウラジーミル・プーチンは、大統領専用車をドイツ製ではなくロシア製にこだわったため、アウルス・セナートという装甲リムジンが作られた。ロールス・ロイスファントムのようなボディ形状、ライト、グリルを備えているが、奇妙なことに、パワートレインにはポルシェボッシュの協力を得て設計された最高出力598psの4.4L V8ハイブリッドを搭載している。16万ドルという価格は、ロールス・ロイスよりかなり安い。

アウルス・セナート(2018年)
アウルス・セナート(2018年)

ラーダ2101(1970年)

1970年から1988年まで生産された2101は、フィアット124を大幅に改良し、東欧圏とソ連向けに作られたモデルだ。生産初期の車両には、寒冷地でバッテリーが上がった場合に手動でエンジンをクランキングするためのスターターハンドルと、補助燃料ポンプが装備されている。ロシアの過酷な道路環境に対応できるよう、生産終了までに800を超える改良が施された。現在でも、東欧を中心に数多く走っている。

ラーダ2101(1970年)
ラーダ2101(1970年)

スコダ110 R(1970年)

現在フォルクスワーゲン・グループ傘下にあるチェコのスコダ。1970年当時、1000mbというセダンをクーペにする計画があったが、構造上の問題からすぐに中止となる。代案として、110のセダンをベースにリアを削った110 Rが誕生した。

110 Rは約5万7000台が生産され、中にはポルシェのようなハブキャップを備えたモデルもあった。リアには2つの吸気口があり、最高出力52psの1.1Lエンジンに空気を送り込む。

スコダ110 R(1970年)
スコダ110 R(1970年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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