V8プラグインHVで歴代最強　車重は約2400kg

次期BMW M5はV8エンジンを搭載し、727psのプラグイン・ハイブリッドになる。英国価格は11万500ポンド（約2210万円）からが予定され、2024年後半に英国での販売が始まる。

7代目M5の最高出力は、過去最高になった。先代へ大差をつけて。リミッターが解かれるドライバーズ・パッケージでは、0-100km/h加速3.5秒、最高速度304km/hに達する。車重は500kg増え、2400kg前後になる見込みだ。

この強力なパワートレインは、M部門初のプラグイン・ハイブリッド、XMと基本的に同一。585psを発揮する4.4L V8ツインターボに、8速AT内へ搭載される198psの駆動用モーターが組み合わされる。

駆動用バッテリーの容量は、18.6kWh。電気だけで68km前後を走れる。サスペンションには専用のアダプティブダンパーが組まれ、新たに調整されたMデフと、1.5度まで制御される後輪操舵システムも採用する。

インテリアは、基本的に通常のG60型5シリーズと大きくは違わないが、バケットシートやカーボンファイバー製の化粧トリム、専用ドライブモード、ローンチコントロール機能などが与えられる。

お披露目されたスタイリングの印象はいかがだろう。全長は5m以上。ホイールアーチの位置は、通常の5シリーズ比で前が75mm、後ろが48mm広げられた。

数年前なら、M7を名乗っていても納得できる大きさがある。それでも、M部門の技術者の芸術的な能力で、大きなサルーンは爽快に運転できるよう仕立てられた。

岩のような塊感　ダウンサイジングは視野になし

M3 コンペティションも同様だった。全長は4.7mを超え、車重は予想より100kg多かったが、操縦性はクラスベストにある。実際、ひと回り小さく軽かった先代M3より優れている。同じ結果が、最新のM5へ導かれても不思議ではない。

筆者が降り立ったのは、ドイツ・ザルツブルク・サーキット。歴代最もパワフルなM5を、運転する機会が巡ってきた。試乗車は量産直前の状態で、95％の完成度だと技術者は話していた。

ハードウエアは、ほぼこのまま。ソフトウエアなどは、細かな調整が加えられる可能性はあるようだ。V8エンジンと8速ATの間に載る駆動用モーターは、変速時にクランクシャフトの回転数を調整し、素早いギアの切り替えを実現したらしい。

ピットレーンで歩み寄ると、大きさに唸る。岩のような塊感があり、存在感が凄い。ボディサイドが平面的で、実際以上に大きく見える。キドニーグリルと4本出しマフラーが、強大なエネルギーを閉じ込めたボディの前後をまとめる。

V8を直6にすれば車重を削れたのではないかと、パワートレイン技術者のベルント・バルビッシュ氏へ尋ねてみる。「ダウンサイジングは視野にありませんでした」。V8ツインターボは、現代のM5に欠かせない特徴なのだろう。

エンジン単体では、交代したM5 コンペティションの最高出力に届いていない。そのかわり、駆動用モーターが補いつつ、将来的な排気ガス規制をクリアしている。パワーウエイトレシオは、先代の方が優れるが。

画像　次世代は727psのV8プラグインHV！　最新BMW M5　競合クラスの高性能サルーン／ワゴン　全114枚