驚異的に「速く」明らかに「重い」 最新BMW M5へ初試乗 次世代は727psのV8プラグインHV!

公開 : 2024.06.29 19:05

みなぎるトルク 驚異的に速く、明らかに重い

8速ATは、304km/hの最高速度と101.8kg-mの最大トルクに対応させるため強化。リアデフ内のクラウンホイールも10mm拡大され、235mmになった。量産のデフとしては、相当な大きさだという。

タイヤ幅はフロントが285で、リアが295。フロント側はM5 CSに並び、過去最も幅が広い。銘柄は複数設定されるが、ミシュラン・パイロットスポーツS 5かピレリPゼロ Rが推奨とのこと。どちらも、操縦性の精度を担保するという。

BMW M5(欧州仕様)
BMW M5(欧州仕様)

今回の試乗はサーキットに限られ、公道は走れていない。先導するのはM4 CSで、BMWの研究開発責任者、ディルク・ハッカー氏がステアリングホイールを握る。EVモードで静かにピットを発進するが、すぐに全開。V8エンジンが目を覚ます。

真っ先に、トルクの豊かさに気付く。低回転域からみなぎっている。アクセルレスポンスは一層鋭く、駆動用モーターが加速力を上乗せしていることは明らかだ。

ドライビングポジションは素晴らしい。やや座面は高く、シートの形状は先代の方が筆者好みだったかも。試乗車のインテリアはカモフラージュされていたため、写真をご覧いただきたい。

キャビンは広い。SUVのように。ステアリングホイールは少し重すぎる。これらも折り重なり、最新M5のイメージが形成されていく。

驚異的に速いが、明らかに重い。500kgの車重増は、常に感取される。それでも、気まぐれな印象はない。300km/hを超える最高速度に、疑いようはない。

M4 CSをたやすく追走 直感的な運転体験に

さらなるグリップ力を求めて、ボディ前部は剛性が高められ、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションは全面的な再設計を受けた。ネガティブキャンバーも強い。ダンパーは、ザックス社製からビルシュタイン社製へ変更された。

M5としては初めて、収縮量に応じてバネレートが徐々に高くなる、プログレッシブ・スプリングをリア側に採用。ここにアンチロールバーを組み合わせ、自然なボディロールを引き出したという。

BMW M5(欧州仕様)
BMW M5(欧州仕様)

M4 CSを運転するハッカーはアクセル・ベタ踏みだと思うが、M5はたやすく追走。大きなフロントノーズは素直にコーナーへ吸い込まれ、見事に正確に旋回し、ストレート目掛けて爆発的に加速していく。

シケインやS字コーナーで、M4 CSが堪える。しかし筆者が駆るM5は、中回転域の動力性能と相まって、明らかに余裕。グリップ力も甚大。英国の公道では、きっと手に余るように感じるはず。

とはいえ、水準を塗り替えるほど速いわけではない。操縦性も同様だろう。アンダーステアは抑えられている。サーキットの限り、シャシーバランスは素晴らしい。ステアリングやボディロールなど、Mらしい調和があることは確かめられた。

大きさと重さが故に、公道での運転の楽しさや普段使いのしやすさに、影響は現れていて当然。M部門の技術者にとって、従来の領域を超えた開発だったかもしれない。しかし、直感的な運転体験は叶えられそうだ。

BMW M5(欧州仕様)のスペック

英国価格:11万500ポンド(約2210万円)
全長:5060mm(通常5シリーズ)
全幅:1900mm(通常5シリーズ)
全高:1515mm(通常5シリーズ)
最高速度:304km/h(ドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:−km/L
CO2排出量:37-39g/km
車両重量:2400kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒4395cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:18.6kWh
最高出力:727ps(システム総合)
最大トルク:101.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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