EVの「ゲームチェンジャー」 ヒョンデ・アイオニック5 N ベスト・パフォーマンス賞 AUTOCARアワード2024

公開 : 2024.07.13 19:05

今年前半までを振り返り、各カテゴリーでのベスト・モデルを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトハッチまで、2024年に受賞した栄えある8台をご紹介

バッテリーEVのゲームチェンジャー

ヒョンデアイオニック5 Nは、バッテリーEVのゲームチェンジャーといえる。電気自動車が中心の未来が来ても、運転する楽しさが残ることを証明してくれた。

アイオニック5 Nは、公道でもサーキットでも面白い、素晴らしい高性能ハッチバックだ。むしろ、たまたまバッテリーEVだっただけ、と思えるほど。

ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)

駆動用モーターとバッテリーの可能性を最大限に引き出し、高いエンターテイメント性を実現している。静かで劇的な加速だけでなく、マニュアル・トランスミッションをシミュレートし、擬似的な変速すら味わえる。

大パワーを受け止めるシャシーも秀抜。ドライバーとの一体感が高く、インタラクティブな体験を生んでいる。

ヒョンデが優れたドライバーズカーを作れることは、以前から明らかだった。高性能モデルのサブブランド、Nパフォーマンスを立ち上げ、有能な技術者を招聘。スカイブルーをテーマカラーに、完成度の高いホットハッチのi30 Nとi20 Nが開発されていた。

それから7年後、アイオニック5 Nが導かれた。しかも、運転体験をさらに磨いて。車重2.2tもある四輪駆動のバッテリーEVでありながら、アクセルの踏み加減でコーナリングラインを調整していける。至って自然に。

思わず運転へ夢中になってしまう楽しさ

サーキットでは、豪快なドリフトも可能。それでいて、繊細な操縦性も持ち合わせている。即時的に反応する駆動用モーターと知的に働くリアデフを組み合わせ、より軽い内燃エンジンの高性能モデル以上に、クルマとの一体感を深めている。

ボディサイズは大きく、システム総合で650psという剛腕ながら、反応は極めて自然。
ドライビングポジションは完璧で、ステアリングの反応は直感的。怯える必要はない。走り出せば、ひと回り小さく感じられるのは本当だ。

ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)

カリカリに飛ばさなくても、運転は楽しい。カーブが連続する郊外の道では、思わず夢中になってしまうはず。

聴き応えのあるエグゾーストノートとダイレクトな変速は、スポーツカーに欠かせないとお考えのクルマ好きは多いだろう。少し古い考えかもしれないが、そんな人のために、アイオニック5 Nではボタン1つでこれを擬似体験できる。

人工サウンドに不自然さはなく、シフトパドル付きの8速ATも、高度にバーチャルで再現されている。下手に変速すればギクシャクするし、駆動用モーターは線形的ではないトルクカーブを生み出す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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