【高出力を悟らせない】 BMWアルピナB3 GT/ツーリング ブッフローエ・アルピナ、その最高到達点 

公開 : 2024.06.28 17:45

発表されたばかりのBMWアルピナB3GTとB4GTをドライブするため、日本からひとりでドイツを訪ねた吉田拓生。まず先にB3GTに関してザッセンリンクサーキットでの試乗が実現しました。

GT、アルピナの歴史を総括する1台

6月5日に発表されたBMWアルピナのB3GTとB4GTをドライブするため、日本からひとりでドイツのザッセンリンクサーキットを訪ねた。

アルピナらしいな! と感じたのは、ピットレーンに広報写真と同じナンバーの3台が並んでいたこと。

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング    アルピナ

現段階ではB3 GTリムジンとB3 GTツーリング、そしてB4 GTグランクーペはそれぞれ1号車しか完成していない。年間2000台程度というアルピナらしい規模感である。国際試乗会とはいえジャーナリストの数も15名ほどだった。

本稿ではB3 GTとツーリングに触れる。GTという名称が追加されているがこれは2019年に登場したB3のフェイスリフト版であり、BMWのベースモデルのLCIを受けての登場となる。

以前登場したB5 GTは世界限定250台のモデルだったが、今回の3車種はカタログモデルとして受注される。車名にはないが、駆動はもちろんアルラット=AWDである。

スペック的に目立つのは3Lツインターボ、S58ユニットの最高出力が495psから529psまで引き上げられたこと。外観はB5 GTと同じようにフロントスポイラーの両端にカナードが追加される。

またこれまでB4のみに装着されていたエンジンルーム内の見た目をがらりと変える補強部材(ドームバルクヘッドレインフォースメント)がB3 GTにも追加されている。

それ以外の性能的な変更点は後に記す足回りの変更と各ソフトウェアのキャリブレーションということになる。

繊細なチューンの先に溢れる余裕

試乗は3台で隊列を組み、そこそこ速いペースカーについていくスタイル。

つまり公道とは別次元のスピードである。これまでのB3をサーキットで乗ったことがないので単純比較はできない。だがトラックDSCを選び、全開でピットアウトした際の加速は529psの高出力をさとらせない滑らかなものだった。

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング    アルピナ

少し路面が濡れている部分もあったのだが、スロットル操作に対し寛容で、狙ったラインをゆったりとトレースするだけでいい。サーキットですぐに楽しい! と感じるクルマはステアリングがクイックだとか、スロットルに対しリアの反応がリニアといった特徴があるが、B3 GTはそのどちらでもない。

4輪でしっかり路面を捉えつつ、ペースアップに余裕を持って対応していく感じ。これは後で試乗したツーリングでも全く同じ印象だった。

パドックに戻り、足回りや電子制御を担当しているというトビアス・ウィーガーに訊くと、今回B3 GTはパワーアップに合わせ全面的にリセッティングを施したという。

物理的な変更はリアのダンパー取り付け部の強度が上がったことを受けリアのスタビを1段階柔らかくしている。一方フロントは前記の補強で応答性を高めたという。

そしてダンパーを含む電子制御システムのキャリブレーションである。こちらが「全体的に硬いor柔らかくなった?」と聞くと、彼は「そんな大雑把なものじゃないよ!」と言って笑った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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