【高出力を悟らせない】 BMWアルピナB3 GT/ツーリング ブッフローエ・アルピナ、その最高到達点 

公開 : 2024.06.28 17:45  更新 : 2024.07.01 23:00

グリップではなくタイヤに拘った走りの質感

全ての走行モードでエンジンと8速ATのリアデフとセンターデフ、ダンパー、そしてDSCの電制チューニングを行っている。

ベースのECUはM用ではなくBMW用だが、トビアス曰くかなり自由にいじれるという。今回の仕事量は「10人のエンジニアで1年間」だそうだ。

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング    アルピナ

普段我々は「物理的に何が変わっているか?」を気にしがちだが、目視できない電制の進化は想像以上に大きいのである。そんな予備知識を入れつつ再度B3 GTを試乗した。

今度はコーナーで少し意地悪な走りも試したが破綻の予兆はなし。それでいて引き締まったドライブフィールが途切れない。走行後のピレリタイヤは側面のALPの文字が消えるほど摩耗していたが(!)、ドライブフィールに違和感はなし。グリップに頼らない動的なバランスも見事だったのである。

2015年以降アルピナに標準装着されるピレリはミシュランに比べ柔らかくなったと感じていたのでそのことをピレリの担当者に訊いてみると「だとすれば、そういうタイヤをアルピナが求めた、ということでしょう」という含みを持たせた返答。

トビアスも車重が増しパワーと最高速も上がり乗り心地の確保は難しいと言っていたので“しなやかなタイヤ”の存在は重要なようだ。

アンドレアス・ボーフェンジーペン社長に「これがアルピナのファイナルモデル?」と聞くと、「アルピナはこれからも続きますよ(それは2025年以降もBMWの手で、という意味だろう)。でも我々は次の車輛を考えていません」との答え。

実質的にブッフローエ・アルピナの最終モデル。その肩書きに相応しい完成度だと感じた。

試乗車のスペック

価格:リムジン 1600万円/ツーリング 1670万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4725×1827×1440(ツーリング:1438)mm
巡航最高速度:308(ツーリング:305)km/h
0-100km/h加速:3.4(ツーリング:3.5)秒
駆動方式:AWD
車両重量:1875(ツーリング:1945)kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc+ビターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:529ps/6250~6500rpm
最大トルク:74.4kg-m/2500~4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/35ZR20(フロント)265/30ZR20(リア)

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB3 GT/ツーリング    アルピナ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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