【時間をかけて開発する意味】 BMWアルピナB4 GT リムジンとグランクーペ、個性の違いはどこにある?

公開 : 2024.06.28 20:05  更新 : 2024.07.01 23:00

アルピナらしい味を作るエンジンとタイヤ

エンジンパワーの印象に関しては「500ps近辺における34ps増し」をサーキットで体感するのは難しい。

パワーカーブの比較データを見せてもらうと、約5000回転で到達する495psまではこれまでと同一のライン。だが新型のGTユニットはそこから上6500回転まで緩やかに上昇し続けて529psに達している。

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB4 GT
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB4 GT    アルピナ

トルクに関しても5000回転以降の下降の角度が緩やかになっている。ピークを尖らせることなく、いつのまにか差が付いている。いかにもアルピナらしい仕事だと感じた。

「我々はドイツにも拠点があり、BMWやMとも仕事をしています。その経験をもとにアルピナと仕事をするのは理にかなっています」と話すのはピレリでアルピナを担当するドイツ人、ニコ・ケスラーである。

「普通は何社かで供給するので足並みを揃える必要がありますが、(1車種で1社供給の)アルピナの場合はその必要がないので、楽というか仕事がやりやすいですね。あと前後でサイズも違い、完全に構造を変えられる点も仕事をやりやすくしています。今回タイヤの仕様は変えていませんが、性能的には充分狙ったところに達していると認識しています」

アルピナを作る人たちは誰もが、控えめだが自信たっぷりというのも印象的だった。アウトバーンを305km/hの巡航最高速度で余裕を持って突き進みつつ、B3 GTと比べるとフィードバックが若干高められ、走りを堪能できる。それがアルピナが「真のグランツーリスモ」と謳うB4 GTなのである。

試乗車のスペック

価格:1660万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4800×1850×1440mm
巡航最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.5秒
駆動方式:AWD
車両重量:1965kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc+ビターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:529ps/6250~6500rpm
最大トルク:74.4kg-m/2500~4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/35ZR20(フロント)285/30ZR20(リア)

ドイツ本国試乗 BMWアルピナB4 GT
ドイツ本国試乗 BMWアルピナB4 GT    アルピナ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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