ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待
公開 : 2024.07.06 20:25 更新 : 2024.07.13 15:21
小型MPVの先駆けとなったセニックが、SUV的なクロスオーバーのEVに生まれ変わりました。フランス車に期待するような快適性や斬新さは物足りず、改善の余地はあるものの、ファミリー向けEVとしてはなかなか優秀です。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
はじめに
新型ルノー・セニックについて、長所や短所、クセなどについてはこの後で掘り下げていくとして、ここではパッと見でわかる話をしていこう。
この5代目モデル、まず気づくのは、最近よくある2ボックスのクロスオーバーだということ。過去4世代が1ボックス的な、フランス風にいうならモノスペースだったセニックとしては、劇的な変化だ。1990年代中盤の最初期型は、先見の明があったルノーのチーフデザイナー、パトリック・ル・ケモンの発明ともいうべき、合理的なサイズのMPVの元祖的存在だった。
当時はパッケージングと使い勝手の啓示のようにみなされたセニックも、パッケージングに関してはいまや数多ある同類の中に埋もれてしまった。そして、市場のニーズはMPVからSUVへと主流を移している。
しかし、デザインを2ボックスへ移行したMPVが、否定しようがないほど見栄えがよくても、それだけで成功が保証されるわけではない。そこでこの新型セニックは、もうひとひねり加えて、完全電動化を図り、4万ポンド(約812万円)前後の中型クロスオーバーEVという激戦区に身を投じた。
ライバルは、テスラ・モデルYやフォルクスワーゲンID4、プジョーの新型e-3008をはじめ、欧州で人気のスコダ・エンヤックや、ヒョンデ・アイオニック5の下位機種、そしてメカニズムの共通点も多い日産アリアなどだ。1996年デビューの初代ほど、ニッチなカテゴリーではない。
それでもルノーは、シャープなエクステリアやリサイクル素材をうまく使ったインテリア、公称航続距離の強みや十分なパフォーマンスなどにより、多くのユーザーに選ばれると考えているようだ。果たして、リアルな実力はいかほどか、検証してみたい。