ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待
公開 : 2024.07.06 20:25 更新 : 2024.07.13 15:21
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
セニックE-テックのベースは、モジュラー構造のCMF-EVで、より小型のメガーヌE-テックや、同等サイズの日産アリアと共通だ。メガーヌよりホイールベースが100mm延長され、全高は70mmほどアップした、拡大版と言ってもいいだろう。
とはいえ、さほど大きなクルマではない。ルーフはフォルクスワーゲンID3より低く、全長はこのセグメントでは最短だ。市街地中心に使うユーザーには魅力的だ。
駆動用バッテリーはニッケル・マンガン・コバルト・リチウムイオンで、キャビンの床下に設置。CMF-EVは前後モーターの4WDにも対応可能だが、ルノーのE-テックは今のところFFレイアウトのみで、効率や実用性を重視している。
リアモーターを諦めたことで、荷室を広く取れるとルノーでは説明している。また、充電装置をほぼすべてフロントに集中させ、配線を少なくすることで軽量化が図られている。
発売時点では、2種類のバッテリーが用意されている。エントリークラスは60kWhで、WLTP値の航続距離が418km。今回テストするロングレンジ仕様は87kWhで、公称610kmとされている。これはテスラ・モデルYの533kmを凌ぐ、クラストップレベルの数字だ。
違いはバッテリー容量だけではない。60kWh仕様は170psで、充電性能は最大130kW、87kWh仕様は218ps・150kWだ。ただし、最大トルクは共通で、車両重量はエントリーモデルが1757kgと96kgも軽いので、0-100km/h加速タイムの差は87kWh仕様が0.5秒早いのみだ。
外観は目を引くが、彫りの深い顔立ちはちょっとプジョーっぽいというテスターもいた。その意見はルノーを喜ばせるものではないだろうが、欠点というわけではない。いっぽうでシャープなリアビューは、ランボルギーニを思わせるところがある。
このデザインテイストは、ホイールにも適用される。最小サイズは19インチ、中級グレードのエスプリ・アルピーヌや最上位のアイコニックでは2トーンの20インチで、どれをとっても非常にスマートだ。