ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待

公開 : 2024.07.06 20:25  更新 : 2024.07.13 15:21

走り ★★★★★★★☆☆☆

セニックのようなクロスオーバーのパフォーマンスは、いかに速いかという絶対値より、そのクルマにふさわしいかということが問われる。この手のクルマの購買層はスピードを求めているわけではないが、ジャンクションを抜ける際や、家族や荷物を乗せて走る際に多少なりとも加速が鈍かったりすると気にするはずだ。

218psながら0−97km/hは8.1秒というのはやや物足りないが、全体的には妥当な速さだといえる。とはいえ、2022年にテストしたメガーヌE−テックはこれを1秒以上凌ぎ、納得のいく加速だと感じられた。同じことは中間加速にもいえる。48−113km/h加速は6.3秒で、遅いクルマをオーバーテイクするのは難しくはないものの、もう少し楽にできるとありがたい。

もう少しパワーはほしいが、ひどく力不足というほどではない。4段階調整式の回生ブレーキは、コーナリング時の速度調整にも使える。
もう少しパワーはほしいが、ひどく力不足というほどではない。4段階調整式の回生ブレーキは、コーナリング時の速度調整にも使える。    JOHN BRADSHAW/MAX EDLESTON

240ps近い馬力があれば、48-113km/hを5秒台まで引き下げることもできるだろう。そうなれば、公道上でもう少し活発さを味わえるはずだし、ルノーならそれくらいのスペックを出すのも不可能ではないはずだ。

そうは言っても、パフォーマンスの性質は真っ当だ。スロットルペダルの反応はよく、トルク伝達の高め方もうまい。マルチセンスで選ぶ4つの走行モード、パーソナル/コンフォート/エコ/スポーツの違いは大きくないものの、デリバリーの精密さが感じられる。

もっとわかりやすいのは、ステアリングホイール裏のパドルで選択する、回生ブレーキの4つのレベルだ。ルノーは、多くのEVより回生の効きに広い幅を持たせた。4段階のどれかへ入れっぱなしにして忘れてしまうより、コーナー手前でパドル操作により速度を調整するような使い方をしたくなるようなアイテムだ。ブレーキペダルがふわついた曖昧なフィールだということを考えると、このチューニングはうれしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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