ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待

公開 : 2024.07.06 20:25  更新 : 2024.07.13 15:21

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

セニックのステアリングには、切りはじめのレスポンスにわずかながらダルさがあってフラストレーションを覚えるが、おおむね運転の楽しいクロスオーバーだ。パワーは控えめなので、トラクションはまったく問題にはならないが、前輪駆動のEVならどれもそうかもしれない。また、コーナリング時にボディをフラットに保つというという点で、ルノーのパッシブサスペンションは予想以上の仕事をしてくれる。

電動車となることで、重心高は一般的なハッチバックと同程度まで低くなっている。そのことが、気楽に走れる自信をもたらしてくれる。ペースを上げはじめると、スロットルでのアジャスト性もわずかながら見出せるだろう。それは、セニックE−テックの購買層には必須の要素ではないかもしれないが、このシャシーが基礎として賞賛すべき適切さを備えていることを示している。

リアモーターEVのような後輪駆動らしいハンドリングとは違うが、スロットルで挙動をコントロールできるような一面も持ち合わせている。
リアモーターEVのような後輪駆動らしいハンドリングとは違うが、スロットルで挙動をコントロールできるような一面も持ち合わせている。    JOHN BRADSHAW/MAX EDLESTON

同時に、シングルモーターで後輪駆動のライバルにも負けていない。その方面で有力なのはフォルクスワーゲングループで、フォルクスワーゲンID4やスコダ・エンヤックには、地味に満足感のある後輪駆動ならではのバランスがある。それは、当然ながらセニックにはない。しかし、重量があってパワーアシストが強いクロスオーバーは、ステアリングフィールが明らかに欠如している。そこは、後輪駆動勢とは違うかたちで埋め合わせている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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