欧州メーカーが「本気で警戒」する時が来た! キアEV9 ベスト・ラージカー賞 AUTOCARアワード2024

公開 : 2024.07.10 19:05

今年前半までを振り返り、各カテゴリーでのベスト・モデルを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトハッチまで、2024年に受賞した栄えある8台をご紹介

ストームトルーパーに似た大胆デザイン

これまで欧州の人々は、キアが大きなクルマを得意とするメーカーだと認識してこなかった。それが、この土地でEV9が大きな話題を集める理由の1つかもしれない。

しかし、ご当地の韓国や主要市場の北米では、キアは大型モデルでシェアを拡大してきた。SUVのソレントやテルライド、ワンボックスのカーニバルなど、実は多彩にラインナップされている。K9という、全長5m超えのサルーンも提供している。

キアEV9(英国仕様)
キアEV9(英国仕様)

つまり、キアのデザイナーは大きいボディのデザインにも慣れている。EV9の大胆なスタイリングは、臆することなく生み出されたのだろう。スター・ウオーズのストームトルーパーに似た印象を受けるかもしれないが。

EV9を試乗していると、行く先ざきでこのクルマはどこの何なのか尋ねられる。SF映画のセットから走り出してきたような見た目に、多くの人が目線を向ける。

今後数年以内に、EV9へ似た見た目の小さなSUV、EV5やEV3が販売されるそうだ。この特徴的なデザインは、キアの新たな「顔」になっていく。

EV9が巻き起こす強い関心は、キアというブランドへ強力なプラスの効果を与えるに違いない。現実的な価格帯で購入できことが浸透すれば、欧州市場のシェアも急激に伸びる可能性はある。大型モデルが、本来果たすべき役割ともいえる。

欧州のメーカーが本気で警戒する時が来た

見た目だけでなく、EV9は7シーターの電動SUVとして完成度も高い。欧州の老舗ブランドからシェアを奪うことが目指されつつ、過度に飾ることなく、偏見なしで受け入れて欲しいという自信すら漂っている。

全長は5010mmもあるが、そのぶん車内は広々としていて、実用性も低くない。乗り心地は上質だし、インテリアの高級感もなかなか。デジタル技術に不足もない。気になる点といえば、些細なことにすぎない。

キアEV9(英国仕様)
キアEV9(英国仕様)

航続距離や動力性能は、アウディBMWメルセデス・ベンツなどのバッテリーEVへ劣らない数字が主張される。そして、数万ポンド(数100万円)は安い。他メーカーがEV9から学ぶべき部分は、多いのではないだろうか。

キアは以前から、既存の大手へいかに対抗していくか考えを巡らせてきた。いよいよ、本気で警戒するべき時が来たようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

AUTOCARアワード2024の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事