さらば「スイスポ」 英スズキ、エンジン車縮小へ 早ければ年内にも販売終了か

公開 : 2024.07.02 06:05

スズキの英国部門はスイフト・スポーツ、ジムニー、イグニスなどの販売を数か月以内に終了する。現地のZEV義務化に対応するため、2025年からEVを投入していく。

規制対応 ジムニーも終了

スズキは英国向けの製品ラインナップを変更し、イグニスやジムニー、スイフト・スポーツの販売を終了する。2025年から電気自動車(EV)に注力していく方針だ。

英国では、排気ガスを出さないゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)の販売比率が定められている。今年の22%から始まり、2025年には28%、2030年には80%と段階的に上昇する。

英国では2006年から販売されているスイフト・スポーツ。新型は投入されないようだ。
英国では2006年から販売されているスイフト・スポーツ。新型は投入されないようだ。

これはEVの販売台数を増やすことをメーカーに義務付けるものだ。認められた比率を超えてエンジン車を販売すると、1台あたり1万5000ポンド(約300万円)という多額の罰金を支払うことになる。

スズキはこれを受けて、2025年に量産EVを英国へ投入するなどラインナップのEV化を進めていく。

そして、イグニス、ジムニーLCV(排ガス規制に対応した商用車仕様)、スウェイス、スイフト・スポーツの英国での販売を数か月以内に終了する。

スズキUKの責任者であるデール・ワイアット氏は、次のように語っている。

「これらのモデルの撤退により、EVのためのスペースが確保され、ハイブリッドとEVの販売比率を高めることができるようになる。SUVと新型スイフトを中心にエンジンの時代を終え、2025年後半からはEVの成長期に入る」

スズキUKは、販売終了となるモデルは「ディーラーの在庫が枯渇すれば、2025年初頭よりも早く」ショールームから姿を消す可能性があるとした。

こうしたラインナップ切り替えにより、英国向けのガソリンエンジン車は、スイフト、ビターラ、Sクロス、アクロスのみとなる。

英国自動車製造販売者協会(SMMT)の統計によると、スズキUKの2023年の販売台数は2万6574台で、2022年の1万7378台を大きく上回った。今年の販売は2023年と同程度と予測されている。

スズキはすでに、量産EVコンセプト「eVX」を公開している。Sクロスとビターラのほぼ中間に位置するSUVタイプのモデルで、60kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は550kmと謳われている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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