エンジンは基本メンテで「30万km」 メルセデス・ベンツSL(R230) UK版中古車ガイド(2) 卓越の性能を堪能
公開 : 2024.07.20 17:46
購入時に気をつけたいポイント
電気系統
車内の湿気や長期間の放置は、電気系統の故障を招く原因に。ECUや車載機能を受け持つ、2基目のバッテリーが荷室に積まれており、ここが濡れると各種コントロールユニットやモジュール、集中ドアロック用バキュームポンプなどの不調へつながる。
イグニッション・スイッチやバッテリーの不調が、多数の警告を誘発することも。コンピュータ診断で、エラーコードの有無を確認しておきたい。
ヴァリオルーフ
滑らかに開閉できるか、荷室側へ水漏れしていないかを確かめる。折りたたんだ状態で、荷物がどのくらい載せられるのかも確認した方が良いだろう。
経年劣化や長期放置で不調になりがち。油圧ポンプやバルブ、マイクロスイッチの故障、ストラットからの液漏れなどが主な内容のようだ。英国には専門ショップがあり、さほど大金をかけずに修理できる。
サスペンション
オイルポンプで油圧を制御する、ABCサスペンションは弱点の1つ。バルブのOリングやポンプ、アキュムレーターなども不調の原因。一般的なコイルオーバー・ダンパーへの交換が一般的だが、専門ショップに持ち込めばリビルドはできなくない。
エンジン
基本的に堅牢だが、ウォーターポンプの交換履歴は確かめたい。ラジエタークーラントの漏れ、エンジンオイルとクーラントの混合がないかも調べたい。
エンジンの振動が大きい場合は、エンジンマウントの交換が必要。V8の場合は簡単ながら、V12の場合はエンジンを下ろす必要がある。点火コイル、補機ベルト、テンショナープーリーの状態も要チェック。
トランスミッション
オートメーテッド・マニュアルが設定されたのは、SL 350のみ。それ以外のR230型では、5速か7速のオートマティックが載った。シフトパドルが備わらない仕様もある。オートマティック・フルードが黒ずんでいないか、滑らかに変速されるか確かめる。
メルセデス・ベンツSL(R230型)のまとめ
ハンサムで、超洗練された走りを楽しめる、R230型のSL。調子が良い期間の充足感は間違いないが、故障すると恐ろしい請求が待っている。排気量が大きいほどメンテナンスは難しく、費用も高額になる。
慎重に車両を選び、丁寧な整備を続け、専門ガレージのサポートを頼りたい。そうすれば、素晴らしい時間をSLで享受できるはず。
良いトコロ
当時最も先進的といえたグランドツアラー。サーキットから高速道路まで、卓越した性能を堪能できる。車内は上質で、1日中過ごしても不満は出ないだろう。
良くないトコロ
高い洗練性を保つには、コストが必要になる。複雑なぶん、不具合の数も増えがち。極端に走行距離が短い例は、過走行の例と同じくらい不調へ陥りやすい。
メルセデス・ベンツSL(R230型/2001〜2011年/英国仕様)のスペック
英国価格:6万2885〜14万7960ポンド(2006年時)
生産数:16万9433台
全長:4535-4589mm
全幅:1960mm
全高:1298-1310mm
最高速度:249-337km/h
0-97km/h加速:3.9-7.2秒
燃費:5.3-8.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1755- 2075kg
パワートレイン:V型6気筒3724cc 自然吸気OHC/V型8気筒4996-5439cc 自然吸気OHC/V型12気筒5513-5980cc ツインターボOHC/V型6気筒2996-3498cc 自然吸気DOHC/V型8気筒4996-6208cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:234ps/6000rpm-670ps/5400rpm
最大トルク:35.6kg-m/3000rpm-101.7kg-m/2200rpm
ギアボックス:5速・7速オートマティック/6速セミ・オートマティック(後輪駆動)