プジョーの「7シーター」SUV刷新 E-5008へ試乗 クルマへ求めるモノを満たす次世代!

公開 : 2024.07.21 19:05

エンジンに近いパワー感 ステアは機敏で正確

試乗車は214psのシングルモーターで、動力性能は必要充分。0-100km/h加速は9.7秒だから速いわけではないが、35.0kg-mの最大トルクで滑らかに2218kgのボディを動かす。普段使いで、不満を感じることはないはず。

徐々に力強さが増していくパワー感は、ガソリンエンジンに近い印象。初めてのバッテリーEVでも、戸惑うことなく運転できそうだ。

プジョーE-5008 GT 73kWh(欧州仕様)
プジョーE-5008 GT 73kWh(欧州仕様)

テスラへ試乗したことがあるなら、もっと鋭い加速を期待するかもしれない。そんな人には、ツインモーターのE-5008が好適だろう。0-100km/h加速を、ファミリーSUVとしては必要以上といえる、7.0秒以下でこなすそうだ。

運転席からの視界は広々。着座姿勢はSUVライクで、高い座面の位置から、交通状況を良く見渡せる。

回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏のパドルで調整できる。1番強力にすると、ワンペダルドライブへ近い制動力が得られる。高速道路では慣れるまでギクシャクしがちだが、利用されることが多いであろう市街地では扱いやすい。

ブレーキペダルの感触や反応も悪くないが、積極的な運転中は、踏み初めに少し曖昧な場面もあった。それでも、回生ブレーキと摩擦ブレーキの協調性は褒められる。カックンブレーキなしに、そっと止まれる。

ステアリングホイールは重めで、反応は理想像より少し機敏かも。高速道路では、直進を保つため、修正舵を当て続けているように感じる人もいるだろう。しかし、気にすれば、という程度。反応は正確で、カーブを気持ちよく旋回できる。

クルマへ求めるモノをくまなく満たす

スポーツ・モード時はステアリングがさらに重くなり、手のひらへ充分なフィードバックが伝わってくる。操る自信は抱きやすいだろう。プジョーには、もう少しのスポーティさを期待するファンもいるとは思うけれど。

タイヤは、ミシュランe-プライマシー。20インチと大きめだったが、速度抑制用のバンプを越えても、サスペンションはしなやかに入力を処理していた。ボディロールは小さくないが、しっかり抑制されている。

プジョーE-5008 GT 73kWh(欧州仕様)
プジョーE-5008 GT 73kWh(欧州仕様)

細かな凹凸が連続する区間では、揺れとともに足回りからノイズが聞こえてきた。荒れたアスファルトのグレートブリテン島では、小刻みな振動が気になりそうだ。とはいえ、乗り心地や操縦性はまとまりが良く、全体的に落ち着いていると評価できる。

英国価格は19インチ・ホイールを履くアリュール・グレードで、約4万8000ポンド(約960万円)からが見込まれている。決して安くはないが、EQBよりはお手頃だ。

装備は充実し、バックカメラやアダプティブ・クルーズコントロール、キーレスエントリーなどが標準。英国では8年間か16万kmの保証も付帯され、ディーラーで整備を受けている限り、駆動用バッテリーもカバーされる。

モダンなスタイリングで、素晴らしい実用性を包み込んだ、E-5008。高級感の漂うインテリアに、7シーターの広い空間、運転のしやすさなど強みは多い。このクラスの平均的なユーザーがクルマへ求めるモノを、くまなく満たすといっていい。

◯:実用的で魅力的な車内空間 運転しやすく滑らかな操縦性 優れたエネルギー効率
△:スタイリングは、見る角度で冴えない部分も スポーティとはいえない操縦性

プジョーE-5008 GT 73kWh(欧州仕様)のスペック

英国価格:9万6313ポンド(約1926万円)
全長:4791mm
全幅:1895mm
全高:1694mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:9.7秒
航続距離:500km
電費:5.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2218kg
パワートレイン:ハイブリッド同期モーター
駆動用バッテリー:73kWh
急速充電能力:160kW
最高出力:214ps
最大トルク:35.0kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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