ヘセルの血統宿るパフォーマンスを手中に 電動ロータスの第3弾、エメヤに欧州試乗

公開 : 2024.07.03 07:05

伝統受け継ぐドライバビリティ

エメヤSの乗り心地は速度域を問わず快適で、当然のことながらキャビンは静寂そのもの。

それ以上に印象的だったのがステアリングホイール、スロットルペダル、ブレーキペダルのコントロール性ならびにリニアリティが優れていることで、このため走り始めた直後から自信を持ってクルマを操ることができる。

ロータス・エメヤに欧州試乗
ロータス・エメヤに欧州試乗    ロータス・カーズ

大パワーEVのなかには、軽くスロットルペダルを踏み込んだだけで急加速を見せるモデルがあるが、エメヤSはそれとは大違いで、クルマの本質を見極めたオトナのセッティングと評したい。

おかげでワインディングロードも安心して攻めることができるのだが、それとともに驚かされたのが超高速域でも加速感が鈍らないこと。

エメヤSの最高速度は250km/hなのだが、アウトバーンの速度無制限区間では、それこそあっという間に250km/hまで到達したことには舌を巻いた。

試乗会の後半では高性能版のエメヤRをドライブしたが、基本的な印象はエメヤSと共通。ただし、同様に超高速域で全開加速を試すと、フロントの接地性が薄れていくような感触が伝わってきた。

この辺は、918psのハイパワーがなせる技なのか、それとも試乗車の装着タイヤがエメヤSは22インチのミシュラン・パイロット・スポーツEV、エメヤRは21インチのピレリPゼロRと異なっていたためなのか、理由は判然としない。

いずれにせよ、快適性の高さや優れたドライバビリティという点において、エメヤはロータスの伝統を正しく受け継いでいるといえる。

ちなみに、1966年以来、ロータスの本拠地とされてきたイギリス・ヘセルのスタッフは、車両の評価を中心としていまもロータスのクルマ作りに関わっているそうだ。

試乗車のスペック

ロータス・エメヤS

全長×全幅×全高:5139×2123×1459mm
0-100km/h加速:4.2秒
駆動方式:4WD
車両重量:2490kg
システム最高出力:611ps
システム最大トルク:79.4kg-m
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:800V
総電力量:102kWh
航続距離(WLTP):540km
タイヤサイズ:265/35R22(フロント)305/30R22(リア)

ロータス・エメヤに欧州試乗
ロータス・エメヤに欧州試乗    ロータス・カーズ

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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