フェラーリをデザインした唯一の日本人、奥山清行 その全仕事と思考、哲学が詰まった一冊が発売
公開 : 2024.07.03 17:05 更新 : 2024.07.03 17:30
ピニンファリーナへの在籍中に、日本人としてただひとり、フェラーリのデザインを手がけた奥山清行。ことし65歳を迎える奥山の全仕事を追った一冊が出版されました。
著者はフェラーリを購入のうえ執筆に
フェラーリ・エンツォやマセラティ・クワトロポルテのデザインを手がけたことで知られる奥山清行(ケン・オクヤマ)の、これまでの全仕事を記した書籍「奥山清行 デザイン全史」が新潮社から発売された。
著者は、CG誌編集長を始め、様々な企業で企業戦略やマーケティング等を経験してきた田中誠司氏。
この本の執筆のため、奥山氏がデザインに携わったフェラーリ612スカリエッティをわざわざ購入し、その神髄を体験したという。
奥山氏は、クルマの世界でこそ、フェラーリのデザイナーとして知られるが、その活躍は実に幅広く、超豪華トレイン「四季島」や北陸新幹線のE7系、先ごろデビューした山形新幹線のE8系などJR東日本の看板列車の殆どをプロデュースし、また、時計やメガネでも、独自の製品を生み出している。
卓越した才能とそれを支える行動力
この本を読み進んでゆくと、たった一人で、よくこれだけ幅広い分野で活躍ができるものだと驚愕するが、その源泉は、好きなことに徹底してのめり込むことができる才能であることが判る。
その才能を開花させるきっかけとなったのが、米国アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでの熾烈な競争の中で、猛烈に努力し勝ち抜いたことにあると述懐している。ただ、それを可能にしたのは、好きな事にはどこまでも突き進んで行く行動力とそれを支える才能なのである。
本書は、奥山氏の生い立ちから始まり、クルマのデザイナーとして熾烈な世界で勝ち抜き、フェラーリのデザイナーにまで登り詰め、その後、一転して、国内でカロッツェリアを立ち上げ、様々な分野に進出する過程がダイナミックに描かれている。
現代日本を代表するデザイナーの一人である奥山清行氏のヒストリーは、クルマのデザインの本質を知る意味でも面白く、一気に読み込んでしまうことは請け合いである。
書名
奥山清行 デザイン全史
著者
田中誠司
発行所
新潮社
価格
4100円(税別)