どんどん重くなるクルマ 過去7年で平均重量400kg増加 電動化とSUV人気が背景に

公開 : 2024.07.10 18:05

電動化とSUV人気、そしてコンパクトカークラスの減少により新型車の平均重量はどんどん増加している。AUTOCAR英国編集部の独自調査では、過去7年で400kgも重くなっていることがわかった。

数年で平均重量が急増 英国編集部調べ

新型車の平均重量は過去7年間で400kg近く増加している。AUTOCAR英国編集部の調査で明らかになった。

AUTOCARの試乗レビューで得られた重量データを分析すると、2016年から2023年までの間に平均車両重量は1553kgから1947kgに増加した。これは英国で行われた新型車のレビューを基にしているため、地域によって結果に差があることをご了承いただきたい。

新型車の平均重量はここ数年で急増している。少なくとも英国では、この7年で400kgの差がある。
新型車の平均重量はここ数年で急増している。少なくとも英国では、この7年で400kgの差がある。    AUTOCAR

重量増の一因は、SUV人気の高まりにある。2016年にAUTOCARが試乗した新型車のうち、16台がSUVまたはクロスオーバーだった。その平均重量は1722kgで、同年に試乗した全モデルの平均を169kg上回った。

例えば、中型SUVのスコダ・コディアックは1751kgで、前年に試乗した中型セダンのスコダ・スーパーブより246kg重かった。同様に、ジャガーFペイスは同じ2.0Lディーゼルエンジンを搭載するジャガーXFより180kg重かった。SUVは基本的に、ハッチバックやセダンよりも重い傾向にある。

2023年には、合計24台のSUV、クロスオーバー、ピックアップトラックを試乗し、その平均重量は1985kgだった。全体平均との差は38kgで、2016年(169kg)よりも差が小さくなっていることがわかる。

SUVとクロスオーバーに注目すると、その平均重量は1906kgで、2023年に試乗した全モデルの平均重量を下回っている。市場に出回るSUVの割合が増え、全体平均を押し上げていることは確かだが、それだけが原因ではない。

SUV自体も、平均で2016年より183kg増加した。クルマが全体的に重くなっているのだ。

電動化と小型車の減少も理由に

クルマの肥大化に一役買っているのが電動化だ。AUTOCARが昨年試乗したバッテリーEV(BEV)の平均重量は1991kgだった。一方、ハイブリッド車を含む内燃エンジン車は100kgほど軽く、約1897kgだった。

電気モーターと大型バッテリーの負担が大きいハイブリッド車とプラグインハイブリッド車(PHEV)を除くと、内燃エンジン車の平均重量は1841kgに下がり、BEVより150kg軽い。

2000年以降の新型車の平均重量の推移(AUTOCAR英国編集部調べ。単位はkg)
2000年以降の新型車の平均重量の推移(AUTOCAR英国編集部調べ。単位はkg)    AUTOCAR

2000年以降、AUTOCARが試乗してきた新型車の平均重量は、しばらく1500kgから1650kgの間で推移していたが、2018年に初めて1700kgを超えた。2019年には1675kgまで落ち込んだが、その後は増加の一途をたどり、2022年に1879kg、2023年に1947kgを記録した。

傾向が逆転するような兆候は見られない。2024年第1四半期(1月~3月)の平均重量は2087kgで、その大半はBEVかSUV、あるいはその両方(電動SUV)であった。

その中で最も重かったのは、BEVのメルセデス・ベンツEQS SUVで、かつては考えられなかった2899kgだ。

もちろん、電動化とSUV人気だけが重量増加の原因ではない。英国ではAセグメントからBセグメントのコンパクトカークラスが減少していることも、平均重量を押し上げる一因と考えられる。

2003年、AUTOCARは1000kg未満で6台、1000kgから1100kgで6台を試乗レビューした。2023年の試乗では、1000kg以下のクルマはシトロエン・アミ1台だけで、これも厳密には一般の乗用車ではなく「L6e」という小型四輪車の規格に属するものだ。

アミを除いて、昨年最も軽かったのはアルピーヌA110 Rで1065kg、次いでヒョンデコナのガソリン車で1352kgだった。

記事に関わった人々

  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事