これまでと印象が「まったく」違う! アウディQ6 e-トロンへ試乗 航続距離600km以上

公開 : 2024.07.16 19:05

ポルシェと共同開発したPPEプラットフォームのQ6 e-トロン登場 ツインモーターで388ps アウディらしい見た目 極めてシームレスな乗り心地 航続距離は613km 英編集部の評価は?

ポルシェと共同開発したPPEプラットフォーム

アウディは、新しいQ6 e-トロンの仕上がりに自信を抱いているはず。ポルシェと共同開発した、最新のPPEプラットフォームを採用する初の量産モデルだからだ。

このPPEは、バッテリーEV専用。現状ではプレミアム・ブランド向けで、グループ内のフォルクスワーゲンやシュコダなどで利用される計画はないという。

アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)
アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)

既存のMEBプラットフォームより長く、広い車内空間に対応。動的能力の高いモデルが想定された点も特徴といえる。

Q6 e-トロンの開発期間は6年。中国の新興メーカーは、2年前後で新モデルを販売へこぎつける時代だと考えると、かなりの時間が割かれたといえる。

属するカテゴリーは、電動のプレミアム中型SUV。ポルシェ・マカン・エレクトリックとともに、ほぼ独占状態にある。キアEV6やヒョンデアイオニック5も競合といえるが、上級感が足りていない。BMW iX3やジャガーIペイスは新鮮味が足りない。

SQ6 e-トロンという、高性能版も発売される。ただし内燃エンジン時代と異なり、スポーツシートが組まれるトリムグレードの1つなように筆者は感じた。最高出力は517psへ向上するものの、2基の駆動用モーターはQ6 e-トロンと同じだからだ。

英国では、アダプティブ・エアサスペンションがSQ6の標準になる。だが、市場によっては異なるらしい。

ツインモーターで388ps アウディらしい見た目

通常のQ6 e-トロンに積まれる駆動用モーターは、フロント側が非同期で、リアが永久磁石同期のユニット。どちらもグループ内で開発されており、システム総合388psの最高出力を発揮する。

ニッケル・マンガン・コバルトを正極材に用いた100kWhの駆動用バッテリーは、15本の角柱セルで構成。エネルギー密度を最大化させている。

アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)
アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)

ちなみに、効率を高めるため、発熱量の小さいシリコンカーバイド半導体を広範囲に利用。モーターの配線も、正方形の断面とすることで伝導率を高めたという。

スタイリングは、確かにアウディ。前端にはシングルフレーム・グリルが据えられ、スリムなデイライトが高い位置に並ぶ。その下にあるのが、メインのヘッドライトだ。

ボディサイドのフェンダーラインは強調されつつ、腰高感が抑えられ、駆動用バッテリーの薄さが活きている。充電ポートが両サイドにあり、急速充電へ対応するのは一方のみながら、便利に感じる人は多いはず。

インテリアは、触れる部分に上質な素材が用いられ、ソリッドで高級感が漂う。ヘッドアップ・ディスプレイはクラス最高水準といえ、速度が読みやすく、リアルタイムでカーナビのガイドも表示される。もちろん、メーター用モニターも備わる。

このヘッドアップ・ディスプレイに投影されるスピードの数字は、アクセルペダルを深く踏むほど大きくなる。高速道路の合流車線で加速し始めると、笑ってしまうほど巨大になった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事