これまでと印象が「まったく」違う! アウディQ6 e-トロンへ試乗 航続距離600km以上

公開 : 2024.07.16 19:05

ヘアピンで実感できる強力なリアモニター

運転席側のドアには、ヘッドライトやフォグライト、ドアミラー調整のボタンが並ぶ。クルーズコントロールのレバーは、ステアリングコラムから伸びる。操作しやすいレイアウトだ。ただし、エアコンは14.5インチのタッチモニターに触れることになる。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。メニュー構造はわかりやすく、車線維持支援や速度警告などの機能は、タッチモニターを数回タップすればオフにできる。

アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)
アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)

助手席側にも、10.9インチのタッチモニターを追加可能。フォルクスワーゲン・グループで共有される、プラスティック製のシフトセレクターが少し浮いて見えた。

車内空間は、このクラスの平均。薄い駆動用バッテリーのおかげで、フロアの位置は内燃エンジン・モデルと大差ない。荷室の容量は526Lで、床下には充電ケーブルをしまうのに丁度いい空間がある。フロント側にも、それと同等の収納が用意されている。

それでは、出発してみよう。パワーの発生は線形的で予想しやすい。388psの数字通り速く、一般的なSUVユーザーが力不足を感じることはないだろう。

リアモーターの方が、フロント側よりパワフル。ダイナミック・モード時は、積極的にトルクがリアへ割り当てられる。低速のヘアピンカーブで、その事実を体感できる。

0-100km/h加速は、SQ6 e-トロンの方が1.6秒も鋭い。517psが開放されるのはローンチコントロール時のみで、通常は489psへ制限されるが。

極めてシームレスな乗り心地 航続距離は613km

回生ブレーキは、ステアリングホイール裏のパドルで数段階から任意に強さを選べ、周囲の交通状況で自動的に変化するオート・モードもある。シフトセレクターをBにすれば、ワンペダル・ドライブにもなる。

ブレーキペダルの感触は、安定し一定。予想より効きが弱く、踏み増しするような場面はなかった。もちろん車内は静か。開発時に注力したことの1つだそうで、駆動用モーターやタイヤからのノイズは最小限といえる。

アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)
アウディQ6 e-トロン・クワトロ(欧州仕様)

試乗車のQ6 e-トロンにはエアサスペンションが備わったが、荒れた路面による動揺は皆無。車重がかさむ電動SUVにありがちな、不安定さは排除されている。アスファルトの剥がれた穴を通過しても、平然としていた。

アルミホイールは21インチと巨大ながら、乗り心地は極めてシームレス。ドライブモードで重み付けが変化するステアリングホイールは、適度に軽く操縦性も好ましい。感触が豊かとはいえないにしろ。

今回の試乗での電費は、高速道路や一般道を複合的に走らせて、Q6 e-トロンで約4.8km/kWh。さほど高効率とはいえないだろう。カタログ上の航続距離は613kmだ。

急速充電能力は、最大270kWまで。電動パワートレインは電圧800Vで制御され、最短21分で駆動用バッテリーを残量10%から80%へ補充できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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