バイクのメンテは自分でやる意味ある? 愛車アフリカツインのクラッチ交換に挑戦
公開 : 2024.07.09 06:05
大変な思いをしてまでやる価値はあったのか…
1日か2日後に届いた新しいエアインパクト・ドライバーは気に入った。しかし底のネジ山が大きく見え、筆者の英国仕様のエアホースコネクターは米国仕様のネジ山にはまったく合わない。
変換アダプターのようなものがあればいいのだが、あいにく持っていない。だからネットで買う。
数日が過ぎた。そしてようやく作業再開。3秒以内にナットが外れる。高価なエアインパクトの稼働時間はたったそれだけ。
クラッチパック自体はバラバラになっても比較的簡単に元に戻せる。この時は、とてもそうは思えなかったが。
すべてを組み立て直す。しかし、どうやら筆者は、120Nmという高トルクでの締め付けが必要だということに気づいていなかったようだ。
「ギアをトップに入れたまま作業すべきだった」と書いてあるのを読んだが、そうしなかったのでファーストギアから抜け出せない。リアブレーキをいくら強く握っても、ナットではなく後輪が回ってしまう。エアインパクトを使っても、ナットの締め付けが適切かどうかわからない。下手に物を挟んで後輪を固定しようとすると、スポークが曲がってしまう危険性がある。また1日が過ぎた。
翌朝、頭を抱えていると友人がやってきた。彼らにバイクに座ってもらう。ブレーキを踏んでもらい、ホイールに木片を挟む。レンチをかけて……カチッ。分解するときと同様、数日間悩まされた挙げ句、3秒で作業は完了した。
あとは新しいガスケットを取り付けて、マフラーを整理して、クラッチを調整するだけだ。
エンジンケースとクラッチカバーの縁を点検する。製造時の純正ガスケットが大量に使われている。花崗岩のような硬さと、ヤモリの足や濡れたシャワーカーテンのような粘着性を併せ持つ、不可解な物質だ。これを1ミリずつ削り取っていかなければならない。
1日が過ぎた。バイクはまだ動かない。マフラーもまだまとまっていない。また12年後にクラッチ交換が必要になったときには、このスキルはきれいさっぱり忘れていることだろう。