カタチに「不釣り合い」な速さ! ボルボEX90と技術を共有 ポールスター3へ試乗 内装も強み

公開 : 2024.07.20 19:05

見た目に不釣り合いなほど速い 乗り心地滑らか

主に時間を割いた試乗車は、パフォーマンス・パッケージが組まれたロングレンジ・デュアルモーターで、最高出力は通常より27ps増しの517ps。エアサスペンションも引き締まる。

0-100km/h加速は4.7秒と鋭く、見た目に不釣り合いなほど速い。しかし、控えめなアクセルレスポンスでパワーの立ち上がりが優しく、運転はしやすい。

ポールスター3 ロングレンジ・デュアルモーター・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
ポールスター3 ロングレンジ・デュアルモーター・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

オプションの付かないツインモーター仕様も運転したが、筆者はこちらの方が好ましく感じた。最高出力は490psとまったく不足なく、0-100km/h加速は5.0秒。柔らかいサスペンションもうれしい。

回生ブレーキは、惰性走行できるオフ状態と、ワンペダルドライブできる強さ、その中間の3段階から選べる。ステアリングホイール裏のパドルから切り替えられ、真ん中の効きが最も扱いやすいと感じた。

デュアルチャンバーのエアスプリング、ステアリング、パワーデリバリーは、それぞれ個別に調整可能。試乗したスペイン・マドリードの市街地や高速道路では、1番マイルドな設定が快適で直感的なようだった。

ホイールは22インチと巨大だが、乗り心地は充分滑らか。パフォーマンス・パッケージの場合、荒れた路面ではバタバタと細かな揺れは伝わるが。

全体的に洗練されているものの、唯一気になった点がノイズ。風切り音や転がり音は、他ブランドの競合モデルより若干目立つかもしれない。

有能で魅力的 オススメできる大型・電動SUV

キャッチコピーで主張する、スポーツカーのようというのは大げさかも。サスペンションとステアリングホイールをタイトに設定し、ワインディングを飛ばしてみたが、あくまでも運転しやすい大型・電動SUVといった印象だった。

2584kgの車重を考えれば、身のこなしは軽快。グリップ力も高い。多くのライバルより敏捷にカーブを縫っていけ、運転する充足感もある。デュアルクラッチのトルクベクタリング機能が、脱出加速をしっかりアシストする。僅かなテールスライドも誘える。

ポールスター3 ロングレンジ・デュアルモーター・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
ポールスター3 ロングレンジ・デュアルモーター・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

だが、適度な重み付けのステアリングホイールへ伝わる感触は希薄。かなりドライバー志向にあるSUVといえるが、ベンチマークといえるポルシェタイカン・スポーツツーリスモには届いていないだろう。

とはいえ、筆者は3を気に入った。特徴的なスタイリングやインテリア、上質な走り、航続距離や標準装備を踏まえると、コストパフォーマンスや魅力は相当高い。スポーツカーだと期待しなければ、運転も楽しめる。有能でオススメできる1台といえそうだ。

ポールスター3 ロングレンジ・デュアルモーター・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)のスペック

英国価格:約8万1500ポンド(約1646万円)
全長:4900mm
全幅:1968mm
全高:1614mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:4.7秒
航続距離:560km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2584kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:107kWh(実容量)
急速充電能力:250kW
最高出力:517ps
最大トルク:92.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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