BMWが新型クーペ開発中 「i8」後継EVプロトタイプ発見 インホイールモーターで1360馬力?

公開 : 2024.07.09 06:25

ドイツのBMW開発拠点近くで、2ドア・クーペのプロトタイプが目撃された。キドニーグリルからBMWの新型EVと思われ、「i8」の流れをくむフラッグシップモデルとして登場する可能性がある。

次世代フラッグシップモデル インホイールモーター採用か

BMWは、ハイブリッド・スーパーカー「i8」の流れを汲む新型2シーター・クーペの開発を進めている。次期EVラインナップ「ノイエ・クラッセ」の一部として登場する可能性がある。

ドイツ・バイエルン州にある同社の研究開発拠点の近くで、新しいプロトタイプがテスト走行しているのが目撃された。車体には厳重なカモフラージュが施されているものの、新形状のキドニーグリルなど、ノイエ・クラッセEVの特徴的なデザインがいくつか見られる。

バイエルン州のBMW開発拠点近くで目撃されたプロトタイプ
バイエルン州のBMW開発拠点近くで目撃されたプロトタイプ    AUTOCAR

ブレーキキャリパーが見えないことから、インホイール(ホイール内蔵型)モーターで駆動しているようだ。従来のBMW i4などとは異なるアプローチである。

BMWは昨年、1610万ドルをディープドライブ社に出資した。ディープドライブ社は、ミュンヘン近郊ガルヒングの研究開発拠点から数分のところに拠点を置くモーター専門企業である。

ディープドライブ社によると、同社のドライブユニットは現在市販されているものよりもコスト効率とエネルギー効率が高く、トルク密度も高いという。参考までに、同社の最上級インホイールモーター「RM2400」は、直径20インチ、重さ37kgで最大出力250kW(340ps)、最大トルク2400Nm(245kg-m)を発揮する。

BMWは以前、次世代EVの性格を決定づけるという駆動制御システム「ハート・オブ・ジョイ」が、最大1000kW(1360ps)の出力に対応できると述べた。これはまさに、4基のRM2400モーターを組み合わせた出力に匹敵する。

ディープドライブ社のフェリックス・ポーンバッハー共同CEOは最近、業界誌Automotive Newsに対し、2026年にデュアルローター・モーターの小規模生産を開始し、2028年には「大規模」生産に移行すると語った。

ポーンバッハー氏はまた、2030年までにインホイールモーターがモーター市場全体の5~10%を占めるようになるとの予測を示した。このことから同社は従来型モーターの生産を優先する可能性が高い。

BMWの新型クーペがインホイールモーターを採用するとすれば、生産台数は限られたものになるだろう。ノイエ・クラッセ・シリーズのフラッグシップモデルとして登場する可能性もある。

BMWはまだそのような計画を公式には認めていないが、社内にはフラッグシップ・スポーツカーを生産したいという意欲があるようだ。以前、「i16」というハイブリッド・スーパーカーを設計していたが、2020年に新型コロナのパンデミックが発生したため、市販化は中止された。

AUTOCARはBMWにコメントを求めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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