「ミリタリー仕様」ケータハム・セブン360R公開 英空軍の退役ヘリから部品流用 NATOグリーンのワンオフ車

公開 : 2024.07.10 06:05

軍用ヘリの部品を使ったケータハム・セブン360Rのワンオフ車が公開された。英空軍のプーマHC2の尾翼やドアパネル、防音材、弾薬箱などを使用し、同じNATOグリーンに仕上げている。オークションへ出品される予定。

負傷した軍人のためのチャリティー企画

英国の自動車メーカーであるケータハムと英国空軍(RAF)は、慈善活動のための資金調達で提携し、退役した軍用ヘリコプターの部品を使ってワンオフモデルを製作した。

ケータハム・セブン360Rをベースに、空軍のアエロスパシアル・プーマHC2から流用した部品をボディパネルなどに使用している。オークションサイト「Collecting Cars」を通じてオークションにかけられ、10万ポンド(約2000万円)以上の値がつくと予想されている。

ワンオフのケータハム・セブン360Rと英空軍プーマHC2
ワンオフのケータハム・セブン360Rと英空軍プーマHC2

収益の全額が負傷した軍人のためにMission Motorsportと英空軍慈善基金に寄付される予定だ。

360Rは中型支援ヘリコプター、プーマHC2へのオマージュとしてデザインされ、ケータハムの従業員とオックスフォードシャー州のベンソン空軍基地の職員によって手作業で組み立てられた。

今回寄贈されたプーマ(シリアルナンバー「XW232」)は1972年に就役し、最近まで兵士、武器、弾薬の輸送、負傷者の移動、前線での緊急医療対応に使用されていた。

そのアルミ製の尾翼とドアを拝借し、360Rのボディパネルとリアバルクヘッドに使用した。車体は同じNATOグリーンで仕上げられ、シャシーはXW232の運用地域にちなんでデザートサンドのカラーリングとなっている。

ドアパネルとトランスミッション・トンネルには、XW232の防音材が使用されている。この防音材はカーボンファイバー製シートのパッドにも使用され、避難指示のステッチが施されている。

サテンブラックのダッシュボードには「軍用グレード」のスイッチギアが配置され、始動時に3段階のイグニッション・シークエンスを楽しめる。また、ダッシュボード中央にはナビゲーションクロックが備わる。

バッテリーは、かつて12.7mm重機関銃(.50 Cal)の弾薬を積んでいた弾薬箱の中に収められている。

パワートレインは標準の360Rと同じで、自然吸気2.0L 4気筒エンジンと5速MTを搭載し、最高出力180ps、最大トルク19.8kg-mを発生する。0-100km/h加速タイムは4.8秒、最高速度は210km/hとなっている。

ケータハムのボブ・レイシュリーCEOは次のように語っている。

「RAFからこのプロジェクトについて打診があったとき、そのチャンスに飛びつきました。第一に、ヘリコプターの部品を再利用してセブンを作るというのは、ケータハムの歴史上初めてのことであり、興味深い製造プロセスだったからです」

「RAFのエンジニアが製作期間中、わたし達をサポートしてくれました。さらに重要なのは、オークションの収益が重要な活動に寄付されるということです」

このワンオフ車は8月15日に入札が開始され、9月12日に終了する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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