「S」には以前の残り香 ロータスの電動サルーン! 新型エメヤへ試乗 総合力はタイカン以上?

公開 : 2024.07.28 19:05  更新 : 2024.08.21 09:48

新生ロータスの第2弾となる電動大型サルーン、エメヤ Rなら0-100km/h加速2.8秒 航続は最長609km 驚くほど上質なインテリア かつてのロータスの残り香があるS 英国編集部が評価

急転換を遂げたロータス 車重2.5tのサルーン

ロータスほど、急転換を遂げた自動車メーカーは珍しい。車重1138kgの、エキシージ 390スポーツ・ファイナルエディションへ試乗したのは、3年ほど前だった。つい最近のことのように覚えている。

中国資本を得た新生ロータスは、大きな電動SUV、エレトレで幕開けを迎えた。その次に投入されたのが、四輪駆動で車重2.5tに迫る、ハイテクで高級なサルーン、エメヤだ。

ロータス・エメヤ S(欧州仕様)
ロータス・エメヤ S(欧州仕様)

英国価格は、ざっくり9万ポンド(約1818万円)から。スリークなシルエットを持つ、グランドツアラーといっていい。既に中国では2024年初頭に発売されていたが、遂に欧州のディーラーにも並ぶことになった。

主なライバルは、ポルシェタイカンメルセデス・ベンツEQEなど。ロータスは2028年に年間15万台を提供するという目標を掲げており、計画される幅広いラインナップを構成する重要な1台になる。

経営の苦しかったポルシェをSUVのカイエンが救い、ボクスターが誕生した。エレトレとエメヤの販売が、電動2シーターへ生まれ変わる次期エリーゼを導くことになる。

われわれの記憶にあるロータスのイメージに、エメヤのフォルムは合致しにくいとしても、デザインはグレートブリテン島中部のコヴェントリーで進められた。南東部のへセルにあるロータスの拠点は、車両特性のディレクションを担った。

シャシーの動的な開発は、ドイツ・フランクフルトの技術者が担当。生産は中国中部、武漢の工場で行われる。

Rなら0-100km/h加速2.8秒 航続は最長609km

ドライバーズカーを深く理解するテストドライバー、ギャバン・カーショウ氏は、定期的にニュルブルクリンク・サーキットで仕上がりを確かめてきた。乗り心地や操縦性を最終的に監修したのは、その彼だ。

英国で販売されるのは、ベースグレードとS、Rを名乗る3種類のエメヤ。0-100km/h加速をフェラーリ296 GTBへ並ぶ2.8秒でこなす、最高出力918psのRが、最大の注目株だろう。英国価格は、13万7000ポンド(約2767万円)になる。

ロータス・エメヤ S(欧州仕様)
ロータス・エメヤ S(欧州仕様)

しかし、売れ筋になるであろうSも611psで遅くない。0-100km/h加速は4.2秒で、160-240km/hの中間加速は、V8エンジンを積んだアウディRS6 アバント級に鋭い。

ロータスによれば、駆動用バッテリーの充電量が100%から10%までの間で、最高速度を維持してエメヤは走り続けられるとか。一般的に、現在のバッテリーEVは全開走行を15分程度しか続けられない。これが、ジーリー・ホールディングスの技術力を物語る。

駆動用バッテリーの容量は、グロス値で102kWh。航続距離は、ベースグレードとSで609km、Rでは434kmがうたわれる。急速充電能力は、300kW以上とかなり速い。

プラットフォームは、エレトレと同じEPA。冷却系統の配置の違いで、フロアの厚みは20mm抑えられたという。

ホイールベースはエレトレより60mm長く、リアシート側の空間は驚くほど広大。もっともボディも大きく、全長は5139mm、全幅が2005mm、全高は1464mmある。バッテリーEVではないが、ポルシェ・パナメーラがサイズとしては近い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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