ボルボV40クロス・カントリー・ドライブ-E 3気筒プロトタイプ
公開 : 2015.01.06 23:50 更新 : 2017.05.29 19:08
■どんな感じ?
エンジンが目を覚ますと、現行ミニにおさまるBMW製ユニットのように、3気筒特有の音を響かせるかと思っていたけれど、全くそんなことはなく少し拍子抜けしてしまった。
スロットル・ペダルを深く踏み込まないかぎり、驚くほど静かで、それとわかる振動の類もほとんど顔を見せない。
それもそのはず、ボルボのエンジニアは他のユニットと同様の洗練性をこの3気筒で維持するためにかなりの努力を重ねたのだという。
具体的にはバランスシャフトやフライホイール、トーション・ダンパーの細やかな部分までを煮詰めることにより、3気筒特有のエンジン振動を克服している。
高圧の鋳造機を介して制作されたアルミニウム製ブロックを硬質のベッドプレートと組み合わたことも、ノイズや振動を抑えることに一役買っているようだ。
プロトタイプであることから正確なパフォーマンス・データは公開されていないけれど、”8速ATと組み合わせることによりテスト車両はおおよそ158ps程度” というのがエンジニアの伝えてくれた値だ。
アイドリングから6000rpmのレッドラインまでのレスポンスはすこぶる良く、4気筒のユニットに看取された力不足の印象はない。試作機であるにもかかわらず、既に完成度は高いとみた。
テスト車両はスタッドレス・タイヤを履いていたため乗り心地の総評をするのはまだ難しいものの、同じ3気筒を搭載した軽量コンパクトなライバルに比べても遜色ない敏捷性を既に持ちあわせていたこともここに記しておく。
■「買い」か?
4気筒ユニットが役目を終えてから、こちらの3気筒が製品化されるのは2017年くらいになるとのことで、今すぐ購入することはできない。
ただし先述のように現時点での完成度は高く、これからさらにボルボ(とそのカスタマー)が目指す洗練性に近づいていくはずだ。
またテストした印象として、V40だけでなくミディアム-サイズのモデルにこのユニットを組み合わせたとしても、不足なく動作することが容易に想像できる。
さらにハイブリッド・システムとの融合も目論んでいることから、さらなるパフォーマンスの向上と経済性の底上げを楽しみにしてよさそうだ。
ただし今のところボルボのエンジニアは、ディーゼルにおけるノイズ低減とハーシュネスを抑制できるとは思っていないようだから、3気筒のディーゼル版を期待するのは控えておいた方がいい。
(マット・バート)