ホンダ「2ドア・クーペ」復活へ! 新型プレリュード欧州導入 2.0Lガソリン「e:HEV」採用か

公開 : 2024.07.09 18:05

ホンダは新型プレリュードのコンセプトモデルを欧州で公開した。ハイブリッドの2ドア・スポーツクーペとして欧州市場に導入する予定だ。シビックとはシャシーやパワートレインを共通化すると見られている。

ハイブリッドのFFクーペ導入

ホンダが新型スポーツクーペ「プレリュード」の新たな画像を公開した。ハイブリッド車として欧州市場へ導入する予定だ。

7月8日、ホンダは欧州向けのメディアサイトにて、同社のハイブリッド技術の歴史を紹介するプレスキットを掲載した。その中で初代インサイト、CR-ZNSXとともに真っ赤なカラーリングを身にまとったプレリュード・コンセプトが披露されている。

ホンダ・プレリュード・コンセプト
ホンダ・プレリュード・コンセプト    ホンダ

また、英国で7月11日に開幕する自動車イベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでプレリュード・コンセプトを一般公開することも発表した。

プレリュード・コンセプトは2023年のジャパンモビリティショーで初公開され、大きな注目を集めた。市販化が実現すれば、2001年に販売終了した第5世代モデル以来の復活となる。

エレガントで軽快感のあるシルエット、走りへのこだわり、ドライバーのニーズに合わせて設計されたインテリアを採用し、若年層をターゲットとしている。シビックをベースとした2ドアのハイブリッド・スポーツクーペとして欧州市場に導入されると見られている。

欧州では希少な前輪駆動(FF)クーペの1台となるだろう。近年はフォルクスワーゲン・シロッコ、ヒョンデ・ヴェロスター、オペル・アストラGTC、アウディTTなどが存在したが、今はいずれも生産終了している。

ホンダの三部俊宏CEOによると、新型プレリュードはドライバーに焦点を当てたシャシーとエンジンセットアップで、「ホンダの不変のスポーツマインドを体現する」という。電動化モデルのラインナップの花形として、またハイブリッド技術のショーケースとして投入することを示唆している。

プレリュードのプロジェクト・リーダーである山上智行氏は、AUTOCARの取材で次のように語っている。

「EVやハイブリッド車のトレンドは、SUVの方向に向かっています。わたし達も、お客様の実用性のニーズは重要だと考えています。しかし、わたし達ホンダは常に走る喜びを追求してきました。そして、パーソナルモビリティは、操作する喜び、運転する喜びがなければ成り立たないと考えています。それがホンダのDNAです」

「効率的なパワーユニットを誰もが求めている今こそ、ホンダは高効率とダイナミックな楽しさを両立させる能力を発揮すべき時なのです」

シビックとパワートレイン共有か

ホンダは昨年コンセプトを発表して以来、メカニカルの詳細については口を閉ざしてきたが、2.0Lガソリンエンジンと2基の電気モーターを組み合わせたシビックの「e:HEV」ハイブリッドシステムを採用すると見られている。スポーツ性の高いプレリュードでは、出力やトルクをさらに高める可能性もある。

また、シビックとほぼ同じシャシーを採用する見込みで、軽量アルミニウム製サブフレーム、ワイドなリアトレッド、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションが組み合わされるだろう。

ホンダ・プレリュード・コンセプト
ホンダ・プレリュード・コンセプト    ホンダ

山上氏は、プレリュードの開発では「ドライバーを中心としたクルマづくり」にこだわり、操作性やドライバビリティだけでなく、「エンジンのエモーショナルな側面」にも特に注意が払われていると述べた。

山上氏はその例として、エンジンのサウンドと振動を挙げた。

「リニアリティ、プログレッシブ、こういったあらゆる面がドライバーの感覚に影響を与えるのです。これは、ハードウェアのアプリケーションだけでなく、セッティングでも表現したかったことです」

そして、プレリュードは「単にサーキットを走るためのクルマではない」ことも明言した。

プレリュードはホンダのコア層よりも若いドライバーを想定しており、エクステリア・デザインがその魅力の鍵となるという。山上氏は、グライダーのクリーンで研ぎ澄まされた空力デザインに大きな影響を受けたとしている。

「非常に成熟したデザインです。ラインや角度、表面のテクスチャーはそれほど多くありませんが、非常に丸みを帯びたバランスの取れたエクステリアです」

ボンネットは長く低く張り出し、フロントグリルとヘッドライトがワイド感を強調し、ベルトラインを低くして視認性を高めている。20インチのホイールが装着され、フロントバンパー前縁の小さなブルーのストライプが電動パワートレインを連想させる。

インテリアはまだ公開されていないが、エクステリアと同様にシンプルさを重視したミニマルなデザインになるという。

「想像してみてください。ホンダが走る喜びを重視したクルマを作るとしたら、どんな操作系が必要でしょうか? それを実際にインテリアデザインに落とし込んでいます。動力性能やクルマとの一体感だけではありません」

そのデザインは、シビックのデザインに大きな影響を受けていると予想される。シビックはホンダの「M・M思想(人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に)」を反映し、エアコンやオーディション操作には物理的なノブやボタン、エアコン吹き出し口には金属製のハニカムメッシュ、最大9.0インチのインフォテインメント・タッチスクリーン、10インチのデジタル・インストゥルメント・クラスターを備えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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