【さらなる高次元バランス】シビックはまだまだ進化する 待望の「RS」先行試乗から探る「R」とのすみ分けとは

公開 : 2024.08.01 11:00  更新 : 2024.10.02 13:58

登場から約3年が経過したシビックに加えられる商品改良の最大のトピックは追加グレードRSの登場。シビックのホットモデルと言えばタイプRだが、RSの描く世界観とは? 伊豆のサイクルスポーツセンターでチェックする。

タイプR以外でもMT需要が高いシビック

ここ最近、メディアを賑わせているシビックと言えばハイブリッドのe:HEVやタイプRだが、先に登場した1.5Lターボエンジンモデルも以前から走りの印象は良かった。

実際の購入層もそれを認識しているのか、こだわった人が多いようで2024年3月ではMT車の販売比率は58%となっているそうだ。

待望のシビックRSに先行試乗
待望のシビックRSに先行試乗    花村英典

そのようなシビックの販売状況の中で、市場から求められたのがよりスポーティーなバージョンだ。公道走行がメインなのでタイプRほどではないが、走りの特別感を感じられるモデルを望む層がシビックのユーザーには多かったということだろう。

MT車の販売比率などを見れば、RSの登場はホンダがしっかりと市場に向き合ったからこその回答と言える。なお、シビックはグローバルモデルであるが、この仕様のRSは日本独自の仕様だ。

専用のエクステリア&インテリアを筆頭に見て分かる部分はもちろんだが、レブマッチシステムの採用、軽量フライホイール、大型化されたブレーキ、ダンパーやバネレート、スタビライザーなどが変更されたサスペンションやタイプR譲りのステアリング関係など、ソフトだけでなくハードも積極的に変更したかなり凝った内容となっている。

ただ、ここまでハードを変更しているのにも関わらず、エンジンのパワーアップなどは施されておらず、速さではなく「走りの気持ち良さ」という数字に出来ない感応性能にこだわっていることが、試乗前の説明から伝わってきた。

「えっ?」タイヤを変更したかのような驚き

筆者は幸運なことに、改良前のシビックでコース試走を済ませたうえで、シビックRSに乗ることができた。シビックRSに乗り始めた途端、その違いはスグに実感できるものであった。

まず、ステアリングの剛性感が大きく向上していて、「ユルさ」が取れた印象だ。ステアリングセンター付近から僅かに切り込んだだけでもしっかりと反応とインフォメーションがある。ステアリング操作の緻密さとフロントタイヤのインフォメーションが向上していて、これまで以上にクルマと細かな対話できるとスグに確信した。

待望のシビックRSに先行試乗
待望のシビックRSに先行試乗    花村英典

そして、ワインディング区間へと入っていくと、リアの安定感に驚かされた。ステアリング操作に対してシャープに反応しながらも、リアはピーキーな雰囲気がせず安心してコーナーに進入していける。改良前モデルも同じ条件で試乗したが、進入からターンインまでの安心感は大きく違っていた。

また、前半は下っていて後半は上っているというクルマへの入力が大きく変化するコーナーでは、スムーズな荷重移動により、しっかりとタイヤが路面を掴んでいる印象であった。

どのコーナーでも改良前モデルよりハイスピードで進入しても安心感が高く、速い車速でコーナーをクリアできる。そのため、ドライブを終えた時には「もしやタイヤも変えた?」と疑い、思わずタイヤをチェックしてしまったほどだ。なお、タイヤは従前と同じグッドイヤーのイーグルF1だった。

タイヤを変えず、さらにはボディ剛性に対しても変更を行わないでココまでのグリップ感を出せるのは純粋に感動した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 撮影

    花村英典

    Hidenori Hanamura

    1970年生まれ。東京写真専門学校を卒業後、ファッション誌、バイク誌を経てフリーランスへ。現在は自動車専門誌を中心に撮影。はじめて買った車はMR2(AW11)。ドライブとセダンとMTが好き。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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