【さらなる高次元バランス】シビックはまだまだ進化する 待望の「RS」先行試乗から探る「R」とのすみ分けとは

公開 : 2024.08.01 11:00  更新 : 2024.10.02 13:58

乗り心地も進化しトータルバランスが向上

シビックRSに乗る前は「タイプRの辛口度合いが10で、これまでの標準車が0だとしたら、RSは5くらいの乗り味だろうか」と思っていた。しかし、実際に乗ってみるとスポーツ度は高く、RSは7くらいの雰囲気であった。

それでいて、乗り心地がハードになっている印象はない。バネレートはフロントで20%、リアで60%高められているそうだが、ダンパーやコンプライアンスブッシュの変更もあってロールは抑えつつ乗り心地の角はしっかりと取れている。むしろ、改良前の標準車に比べて素早く振動が収束するため、不快な振動の残りが無くなり、乗り心地の快適度で言えばむしろ向上した印象だ。

待望のシビックRSに先行試乗
待望のシビックRSに先行試乗    花村英典

レブマッチも機能をOFFにすることが可能で、よりMTとしてクルマとの対話を楽しむ余地が残されているのも良い。

強いて気になったポイントを挙げるならばブレーキだ。フロントブレーキが15インチから16インチへと大径化したが、ここまで全体的にカチッと剛性感のある乗り味だと、ブレーキもローターとパッドが触れた瞬間が分かるような、初期のタッチがリニアにペダルに伝わるパッド摩材の方がより気持ちよく運転を楽しめると思う。

あくまでもストリートを主眼としたノーマルカーなことを思えば、それは求めすぎかもしれない。たとえば、フィーリングがリニアなパッドがホンダアクセスなどからディーラーオプションで展開されるのもいいかもしれない。

比較的良好な印象だった改良前の標準車が霞んでしまうほど、シビックRSは魅力を感じる乗り味に仕上がっていた。これまでよりも、より高い次元でバランスを取る。そんな「調律」という言葉を思い出させるメーカーチューニングが感じられる1台だ。

※現時点ではシビックRSのスペックは未発表。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 撮影

    花村英典

    Hidenori Hanamura

    1970年生まれ。東京写真専門学校を卒業後、ファッション誌、バイク誌を経てフリーランスへ。現在は自動車専門誌を中心に撮影。はじめて買った車はMR2(AW11)。ドライブとセダンとMTが好き。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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