発売は「25年」早かった? ホンダ・インサイト アウディA2(1) デザインは今でも新鮮!

公開 : 2024.07.20 09:45  更新 : 2024.07.23 10:58

エネルギー効率が追求された、インサイトとA2 近年のアウディでも通用するデザイン 不満なく機能するホンダのHV 軽く小さいクルマが叶える運転の楽しさ 2台の魅力を英編集部が再確認!

エネルギー効率が追求されたインサイトとA2

21世紀が始まる直前まで、BBCに「トゥモローズ・ワールド」という番組があった。毎週、未来を予見した技術が紹介された。人生を変えるかもしれないという、興味深いガジェットも登場したが、実際はどれも的外れだったようだ。

それでは1999年に発売された、ホンダインサイトアウディA2はどうだろう。どちらも先進的な技術と理想的な思想を重ね合わせ、エネルギー効率を追求した、新時代のクルマだと主張されていた。

ライム・グリーンのホンダ・インサイトと、ライト・ブルーのアウディA2 1.4TDI
ライム・グリーンのホンダ・インサイトと、ライト・ブルーのアウディA2 1.4TDI

ところが、25年前の市場の反応は冷ややかだった。販売は振るわず、開発費の回収すら難しかったという。だがタイミング次第では、違っていた可能性はある。むしろ物価高騰にあえぐ今、この2台は的を射た存在かもしれない。

ハイブリッドの2ドアクーペに対し、ディーゼルの5ドアハッチバックと、見た目や動力源は違う。しかし、空気抵抗を抑え車重を軽くし、燃費が追求された点で共通している。

発売は、インサイトの方が数か月早かった。英国では、トヨタプリウスより先に販売されたハイブリッド・モデルとして、注目度も高かった。

低域トルクをアシストする、厚さ60mmの薄い駆動用モーターを、1.0L 3気筒ガソリンエンジンのクランクシャフトへ連結。それぞれ13psと68psを発揮し、システム合計で77psがうたわれた。

そのブラシレスモーターは、減速時に発電し、スターターの役割も果たした。現代のハイブリッドへ通じる技術といっていい。

今見ても新鮮なスタイリング アルミで軽い車重

インサイトのスタイリングは、今見ても新鮮。驚くほど小柄で、背の高いA2に並ぶと、更に小さく見える。リアタイヤにはスパッツが履かされ、ルーフラインが後端で鋭角に切り落とされたカムテール。空気力学的に練られたカタチだと納得できる。

全高は1355mmと低く、リアのトレッドは狭い。滑らかなティアドロップ状のシルエットで、空気抵抗を示すCd値は0.25と、今でも評価されるべき小ささだ。

ホンダ・インサイト(初代/1999〜2006年/英国仕様)
ホンダ・インサイト(初代/1999〜2006年/英国仕様)

ボディシェルやサスペンションは、アルミニウム製。エンジンも主にアルミ製だが、さらに軽量なマグネシウムも一部へ用いられている。その結果、インサイトの車重は835kg。ホンダUKが管理する試乗車は、エアコン付きで852kgあるけれど。

対するアウディA2の車重は、1番軽い仕様で895kg。今回の試乗車はディーゼルエンジンで重く、990kgある。とはいえ、真っ当な4シーターで390Lの荷室を持つという実用性を考えれば、驚くほど軽い。

これを叶えたのが、インサイトと同じ素材。大型サルーンのA8から採用が始まった、アルミ製スペースフレーム構造が、小さなサイズに展開されている。

ボディシェル単体では、大人2人で持ち上げられるほど軽量だったとか。その表面に、アルミ製のボディパネルが組まれている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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