むしろ2024年にピッタリ! ホンダ・インサイト アウディA2(2) 軽く小さいクルマは走りも楽しい

公開 : 2024.07.20 09:46

エネルギー効率が追求された、インサイトとA2 近年のアウディでも通用するデザイン 不満なく機能するホンダのHV 軽く小さいクルマが叶える運転の楽しさ 2台の魅力を英編集部が再確認!

軽いホットハッチのような走り 高い洗練性

アウディA2は、エンジンを始動させると古さが表面化する。75psを発揮する1.4L 3気筒ディーゼルターボは、冷間時の振動が激しい。故障かと心配したくなるくらい。1.4Lと1.6Lのガソリンエンジンも選択できたが、燃費では遥かに有利だった。

油温が上昇すると、徐々に滑らかになるが、ガラガラというディーゼル・ノイズは消えない。魅力の1つとして、考えられなくもないけれど。

ライム・グリーンのホンダ・インサイトと、ライト・ブルーのアウディA2 1.4TDI
ライム・グリーンのホンダインサイトと、ライト・ブルーのアウディA2 1.4TDI

発進させると、出だしは若干鈍いものの、1800rpmを超えると勢い付いてくる。最大トルクは19.8kg-mと太く、スルスルと速度を乗せていく。車重が軽いため、むしろ想像以上に速い。特に中間加速は、ひと回り大きいアウディも驚かせられるだろう。

正確にゲートを選べる好感触な5速MTを駆使し、パワーバンドを保てば、軽いホットハッチのよう。3速、4速と気持ち良くシフトアップしていける。

ディーゼルエンジン以外、洗練性も高い。優れた空気抵抗のおかげで、風切り音は最小限。タイヤやサスペンションからのノイズも抑えられ、長距離の疲労感は小さそうだ。

対するホンダ・インサイトは、荷室で車外からのノイズが反響し、ややうるさい。60km/hを超えると、特にロードノイズが耳につく。

加速力も、A2には届かない。ハイブリッド・パワートレインの最高出力は77ps。車重は軽いが、最大トルクが11.4kg-mと細いからだ。新車時、ホンダは1.5Lエンジン級の加速だと主張したが、少し誇張していたようだ。

今でも不満なく機能するホンダのハイブリッド

一方、滑らかに回るエンジンは静か。電気モーターがシームレスにトルクを補完し、早めに1段上のギアを選んでも目立った問題は生じない。5速MTのシフトレバーは軽快に倒せ、ダイレクト感も強い。無駄に変速したくなる。

燃費優先にプログラムされたシフトインジケーターが、1600rpm前後でシフトアップを促す。これに従っていると、パワーの物足りなさを感じる。

ホンダ・インサイト(初代/1999〜2006年/英国仕様)
ホンダ・インサイト(初代/1999〜2006年/英国仕様)

アイドリングストップ機能も優秀。1速に入れると、即座に3気筒エンジンが目覚める。現在では当たり前の機能だが、1999年には先進的に受け止められたはず。

燃費にも唸る。先に試乗していた同僚のマット・プライアーは、28.3km/Lを達成したと自慢していたが、当時のオーナーは日常的に35.0km/Lで乗れていたとか。A2の現実的な燃費は21.0km/L前後で、開きは大きい。

ホンダがIMAと呼んだインサイトのハイブリッドは、今でも不満なく機能する。駆動用バッテリーを最新仕様に置換すれば、現行の小型車にも問題なく対応できそうだ。

と、それぞれの特徴を持つ2台だが、運転が楽しいという点で見事に共通している。車重が2tを超えつつ、電子技術の効果で機敏に身をこなすバッテリーEVとは、まるで違う楽しさがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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