想像以上に「アルファ・ロメオ」! 新型ジュニア・エレトリカへ試乗 新時代の幕開けを告げる電動SUV

公開 : 2024.07.14 19:05

伝統のアルファ・ロメオへ、遂にBEVが登場! シトロエンやプジョーと基本設計や技術を共有 新時代の幕開けを告げる大胆デザイン 目を見張るほど精彩なコーナリング 英編集部がイタリアで評価

シトロエンプジョーと基本設計や技術を共有

イタリア伝統のブランドを、活性化させる役割を担ってきたモデルは数多い。しかし、小さく新しい電動クロスオーバーは、その目的をしっかり果たせる可能性が高い。

充分な販売数を稼ぎ出し、経営を安定化させるには、航続距離や充電速度、価格など、相応の実力が不可欠。だがそれに加えて、アルファ・ロメオの場合、ブランドらしさも極めて大切な要素になる。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)

今回、ジュニア・エレトリカを試乗したのは、ミラノ郊外にあるバロッコ試験場。過去には、8C コンペティツィオーネやジュリア・クアドリフォリオもテストにかけられてきた、広大なサーキットが整備された場所だ。

正式な量産仕様ではなく、公道へは出られないのかもしれない。同時に、ジュニアの運転の楽しさへ、アルファ・ロメオが自信を抱いている証拠でもあるだろう。このモデルの開発技術者は、ジュリア GTAにも携わった人物が多いとか。

またジュニアは、ステランティス・グループに属する、シトロエンやプジョーが提供する同クラスのSUVと基本設計や技術を共有している。サーキットで、ブランドの独自性を強調する狙いもあるはず。

同社の上層部の1人は、「プラットフォームは、エンブレムの内側にあるすべてではありません」。と話す。かくして、ボディサイズはジープアベンジャーフィアット600eに近いが、ジュニアは想像以上にアルファ・ロメオなようだ。

新時代の幕開けを告げる大胆デザイン

ジュニアのボディサイズは、全長が4173mm、全幅は1781mm。全高は、ヴェローチェでは通常より25mm低く、1505mm。写真から受ける印象以上に、実物は小さい。

2020年に生産を終えたジュリエッタのボディサイズは、順に4351mmと1798mm、1465mmだった。樹脂製のフェンダーアーチをまとうが、ジュニアは40mm高いだけ。背の高いハッチバックと考えても良さそうだ。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)

スタイリングは、ブランド新時代の幕開けを告げるような、大胆なもの。逆三角形のスクデット・グリルに、テレダイヤル・ホイール、ストンと切り落とされたコーダトロンカ・リアエンドなど、特有の特徴にも事欠かない。

エアインテークの造形は複雑で、LEDのイルミネーションはモダン。しっかり流行も抑えられている。

インテリアも、特徴を受け継ぎつつ従来とは一線を画す。スイッチ類などは、ステランティス・グループで共有される部品ながら、ダッシュボードのデザインはドライバー・オリエンテッド。過ごしやすく、運転へ集中しやすく、実用性も忘れていない。

メーター用モニターは、望遠鏡を意味する、カノッキアーレ・カウルの内側。底部がフラットにカットされたステアリングホイールは、アルカンターラ巻き。リムは適度に太く、握りやすい。スポーク部分にはスイッチが並ぶ。

ドライバー側へ傾いたインフォテインメント用タッチモニターは、10.25インチ。システムはメニュー構造が理解しやすく、反応は素早く、グラフィックも鮮明だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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