想像以上に「アルファ・ロメオ」! 新型ジュニア・エレトリカへ試乗 新時代の幕開けを告げる電動SUV

公開 : 2024.07.14 19:05

最高出力は282ps 航続距離は334km

運転席の着座位置は低めで、センターコンソールは高め。心地良い包まれ感がある。試乗車のヴェローチェ・グレードには、スポーツシートが備わる。サイドサポートの間隔は、もう少し広くてもいいだろう。

リアシートは大人2名に問題ない広さ。小物入れも各所にある。荷室容量は400Lあり、このクラスでは小さめといえるが、週末のお出かけに困るほどではないはず。床面の高さは、3段階に調整できる。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)
アルファ・ロメオジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)

ボンネットを開くと、エンジンカバーのようなリッド。その下に、充電ケーブル用の収納がある。

エレトリカ・ヴェローチェに載る駆動用モーターは、282ps。バッテリーは50.8kWhで、航続距離は334kmと長くはない。急速充電能力は100kWで、こちらも速いとは呼べない。最高速度は199km/hが主張されるが、その手前で速度上昇は弱まるようだ。

ベースグレードのジュニア・エレトリカは158ps。航続距離は410kmになる。

追って、ガソリンエンジン仕様も登場予定。これはジュニア・イブリダを名乗り、135psを発揮する1.2L 3気筒ターボを積んだ前輪駆動となる。リアアクスルに電気モーターを追加した、四輪駆動も用意される。

さて、ジュニア・ヴェローチェを走らせてみると、数字通り活発。馬鹿げた勢いで加速することはなく、本気のダイナミック・モードでも余裕あるパワーを発揮させやすい。カーブからの脱出は不満なく鋭く、追い越しも余裕でこなせる。

目を見張るほど精彩なコーナリング

ヴェローチェではサスペンションが専用チューニングで、14.6:1というショートなステアリング・レシオを採用。フロントには直径380mmのベンチレーテッド・ディスクブレーキが組まれる。タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツEVを履く。

前輪駆動だが、トルセン式のリミテッドスリップ・デフを搭載。左右のタイヤ間のパワーバランスを整え、アンダーステアを抑え、ステアリングの精度を高めたという。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)

これらが相乗し、コーナリングは目を見張るほど精彩。攻め込みすぎると外側へ流れ、内側のタイヤから荷重が抜けるとトラクション不足へ陥るが、ジュニアの前輪駆動シャシーへ慣れれば限界領域まで思い切り楽しめる。

ステアリングは正確で、反応はクイック。ギリギリまで攻め立てようという、自信も抱きやすい。オーバースピードで突っ込んでも、挙動は安定しリカバリーもしやすい。

一気にパワーを掛けると、フロントタイヤは悶える。だがトラクション・コントロールが自然に介入し、ラインを乱すことはない。

ボディロールは最小限ながら、タイトなカーブでは荷重移動を感じ取れる。峠道では、没入感を高めるのに役立つはず。20インチという巨大なアルミホイールを履いていても、石畳でも乗り心地は上質。静寂性も高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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