992が「ハイブリッド」に! 改良版 ポルシェ911へ試乗 3.6Lの驚異的レスポンス でも最適解はカレラ?

公開 : 2024.07.15 19:05

ハイブリッド技術を得た992.2のポルシェ911 GTSの最高出力は総合541ps 車重増は実質80kg 驚異的な3.6Lのレスポンス 改良後のスイートスポットは素のカレラ? 英編集部が評価

遂にハイブリッドを得た992型911

992型のポルシェ911で、スイートスポットといえるバランスの良さにあったのがGTS。カレラよりパワフルで対峙する喜びがあり、911 ターボやGT3級にハードでもシリアスでもない。多くのドライバーも、それを評価してきたと思う。

ところが、シュツットガルトの技術者が911のハイブリッド化を決めた時、選んだのはGTSだった。これを知った少なくないポルシェ・ファンがSNS上で嘆き、怒ったようだ。ただし、車重が2tに達するという噂は間違いだ。

ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)
ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)

2018年に発表された992型には、2024年に幅広い改良が施され、ポルシェが992.2型と呼ぶほどの進化を遂げた。英国価格を約1万ポンド(約202万円)も上昇させる電動化技術が、その中心にあることは間違いないだろう。

911 GTSの水平対向エンジンは、新開発の3.6L 6気筒シングルターボ。従来のツインターボ・ユニットより、排気量は0.6L拡大した。レブリミットは7500rpmで、最高出力は484ps、最大トルクは57.9kg-mを発揮する。

ここへ、電圧400Vのハイブリッド・システムを実装。エアコンのコンプレッサーは電動になり、補機ベルトで回す必要がなくなった。スターターモーターも不要になった。

そのかわり、電流を整えるインバーターを搭載。8速デュアルクラッチAT内には、54psと15.3kg-mの駆動用モーターが内蔵された。このトランスミッションは、当初から電気モーターを組む前提で設計されていたという。

ターボチャージャーにも、電気モーターが内蔵されている。タービンを早期に回したり、回転を維持するために。

システム総合541ps 車重増は実質80kg

駆動用バッテリーはフロントにあり、容量は1.9kWh。余剰な運動エネルギーで発電し、走行中は充電もされる。ポルシェがT-ハイブリッドと呼ぶ、新しいパワートレイン総合での最高出力は541psで、最大トルクは62.1kg-mになる。

ボディスタイルは、後輪駆動でクーペのカレラと、カブリオレ、四輪駆動のタルガから選択可能。ポルシェによると、ハイブリッド技術により車重は50kg増えたという。後輪駆動のカレラGTSは1595kgで、最も重いタルガ4 GTSでは1745kgになる。

ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)
ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)

だが、これにはトリックがある。リアシートが無償オプションという設定に、フェイスリフト後は変更されたのだ。従来どおり+2にすると、さらに約30kg増える。それでも、同等クラスのスポーツカーでは軽い部類に入るが。

0-100km/h加速は、カレラGTSで3.0秒。最高速度は312km/hで、燃費は9.3km/Lが主張される。CO2の排出量は244g/kmだ。

後輪操舵システムは、改良後のGTSでは標準装備に。サスペンションは、10mm低い設定になる。ボディロールを抑制するオプションのPDCCは、電圧400Vに対応する新しい電動油圧システムへアップデートされた。

タイヤサイズは、リアが315/30 R21で、フロントは245/35 R20。フロントとリアにはアクティブ・エアロが実装され、ヘッドライトもリフレッシュした。一文字のテールライトも、変更が加えられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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