992が「ハイブリッド」に! 改良版 ポルシェ911へ試乗 3.6Lの驚異的レスポンス でも最適解はカレラ?

公開 : 2024.07.15 19:05

素のカレラもアップデート 992.2のピュアな魅力

非ハイブリッドの911 カレラも、同時にフェイスリフトを受けている。3.0L 6気筒エンジンはそのままだが、改良前のGTS用ターボを獲得した。インタークーラーは、同じく911 ターボ譲りとなり、最高出力は394pへ上昇。ブレーキも大径化された。

インテリアでは、メーターパネルが完全にモニター化。中央がタコメーターという配置は変わらない。新しくスタートボタンも獲得している。

ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)
ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)

今回は、複数の992.2へ試乗したが、順に印象をお伝えしていこう。最初にステアリングホイールを握ったのは、リアシートの付いた911 タルガ4 GTSだ。

少し大きく重く感じられるのは、ハイブリッド化前と変わらない。新しいパワートレインは、直線加速で重さを忘れさせてくれるが、カーブへ侵入すると思い出してしまう。

その後、スペインのアスカリ・サーキットへ移動。ここで、非ハイブリッドの911 カレラへ乗り換えたが、サーキットで楽しめる能力は少し減じたように思えた。

タルガより情感豊かで、運転が楽しいことは明らか。身のこなしは軽快で、ラインの調整域も広い。プロのレーシングドライバーが運転する、先導車の911 ターボについていくのはやっと。それでも、目一杯能力を引き出すのは喜びだ。

アクセルとブレーキペダルの操作で、コーナリング・スタンスはアンダーからオーバーまで自在に選べる。ステアリングには鮮明な情報が伝わり、後輪操舵システムは極めて自然。素のカレラには、992.2型の911が持つ純粋な魅力が、すべて詰まっている。

驚異的なレスポンス GTSのベストは後輪駆動

少し熱中しすぎて、手のひらが汗ばんでしまったが、カレラ4 GTSへスイッチ。ここで、ポルシェのハイブリッド・パワートレインの有能ぶりが顕になる。

3.6Lユニットは、従来の3.0Lユニットよりノイズが大きく、レスポンスは驚異的のひとこと。8速デュアルクラッチAT内の駆動用モーターは、エンジンのあらゆる回転数へ対応し、ターボ内のモーターがブーストを維持。ターボラグは皆無といえる。

ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)
ポルシェ911 カレラGTS(欧州仕様)

ブレーキングやコーナリング時は、カレラ以上の重さを感じるものの、同時にしっかり路面へしがみついている感覚もある。直接乗り比べなければわからないかもしれないが、性格はだいぶ違う。従来以上に、差別化されたようだ。

よりダイナミックで積極的だが、アナログな印象は薄い。サーキットを同等のペースで走るのに、ドライバーは素のカレラの8割程度の労力で済むだろう。

そして、最後は後輪駆動のカレラ GTS。四輪駆動ではないぶん、コーナーからの立ち上がりでは安定性が若干落ちるものの、引き換えに機敏さと自在さが増している。

今回試乗した3台のGTSでは、これがベスト。車重は1番軽く、新エンジンの素晴らしいレスポンスを発揮でき、魅力的なステアリングを堪能できる。8速デュアルクラッチATは素早く次のギアを選び、ブレーキは本気の数周でもへこたれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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