ブラウン博士も驚く速さ? エレクトロジェニック DMCデロリアンへ試乗 時速88マイルは余裕

公開 : 2024.07.25 19:05

バック・トゥ・ザ・フューチャーでお馴染み、デロリアンを電気自動車へコンバージョン! V6エンジンがあった場所にモーターとバッテリー 時速88マイルは余裕のパワフルさ 英編集部が体験

世界で拡大する電動パワートレインへの置換

複雑な内燃エンジンやトランスミッションを、クリーンでシンプルな電動パワートレインへ置き換える、エレクトロモッド・ビジネスは各国で拡大中。必要な予算を準備すれば、車庫に眠るクラシックカーをバッテリーEV化できるようになった。

そんな新市場を牽引する1社が、英国のエレクトロジェニック。商用車の電動化でスタートしたが、COVID-19によるロックダウンを機に、事業拡大へ踏み切ったという。

エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)
エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)

同社を創業し、現CEOを務めるスティーブ・ドラモンド氏へお話を伺う。「2020年のロックダウン直前に、新規に10名を採用していました。ところが、計画していた消費者向けの商用車ビジネスは、突然実現が難しくなってしまいました」

「そこで雇用を守るため、事業を紹介したウェブサイトを整備しました。すると、われわれと夢を共有してくれる人が、次々に現れたのです」

AUTOCARでは度々ご紹介しているが、レストアが得意なルナズ社やエヴァラティ社なども、クラシックカーをエレクトロモッドしている。既存の電動パワートレインを巧みに組み込むという点で、事業は似ている。

だがエレクトロジェニック社は、レストア自体は手掛けていない。事業は大きく4つにわかれており、1つは軍事関連。ランドローバーの電動化を、英国軍と協働して進めているという。また、自動車メーカーとのOEMにも携わっている。

エンジンがあった場所にモーターとバッテリー

3つ目が、電動パワートレインのキット販売。これは、創業時のビジネスの延長上にある。BMCミニやジャガーEタイプ、ランドローバーのオーナーを対象に、エレクトロモッド用の部品をセットで提供しているそうだ。もちろん、マニュアルも付いている。

そして4つ目が、完全なオーダーメイド。これは先述の他社も請けているが、要望に応じて特定のモデルを電動化してくれる。「ビスポーク(オーダーメイド)は、お客様の夢の実現といえます」。とドラモンドが話す。

エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)
エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)

同社は、ソフトウエア開発も得意なことが大きな強み。単なるパーツメーカーではないことを、彼は強調する。「わたしたちは特別な目的に合わせて、電動パワートレインを独自に製造できるんです」

そんなエレクトロジェニック社で、夢を実現してもらったDMCデロリアンのオーナーがいる。グレートブリテン島中南部、ビスター・ヘリテージのサーキットで、筆者は幸運にもその正夢を体験させていただいた。

オリジナルのデロリアンに載っていたのは、プジョールノーボルボの共同で開発されたPRV V型6気筒ユニット。実のところ、これは優れたエンジンとはいえなかった。ゆったり快速で通勤するという、当初の目的には合致していたが。

パワートレインを置き換える際、可能な限りオリジナル状態を保つことへ、エレクトロジェニック社は配慮している。このデロリアンでも、ボンネットを開くと従来どおり荷物を詰める。駆動用モーターとバッテリーは、V6エンジンがあった場所に収まる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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