ブラウン博士も驚く速さ? エレクトロジェニック DMCデロリアンへ試乗 時速88マイルは余裕

公開 : 2024.07.25 19:05

最高出力は218ps 時速88マイルは余裕で出せる

インテリアは、ほぼ原型を留めたまま。ギアとドライブモードを選ぶダイヤルが追加され、新しいステレオデッキが載っている程度。写真にはないが、フラックス・キャパシタもシャレで用意されている。

駆動用モーターの最高出力は218psで、最大トルクは31.6kg-mと、PRV V6ユニットよりパワフル。駆動用バッテリーの容量は42kWhで、航続距離は約240kmとのこと。急速充電器を使えば、1時間で満充電になるそうだ。

エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)
エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)

車重は40kg増えたそうだが、0-100km/h加速は5.0秒と鋭い。最高速度は209km/hで、夢のタイムスリップに必要な時速88マイル(141km/h)は余裕で出せる。それ以外、シャシーやサスペンション、ステアリングに手は加えられていない。

電動パワートレインを司る独自のシステムは、同社のエレクトロモッド・モデルで共通なのだとか。「弊社の診断コンピュータをクルマへ接続すれば、同じ情報が表示され、同じOSが実行できるんです」。ドラモンドが説明する。

難しいことはさておき、デロリアンのシートへ座る。キーを捻りシステムの起動を待ち、ドライブを選択すれば、スルスルと進み出せる。アクセルレスポンスは、想像通りとても鋭い。

ドライブモードは、エコ、ノーマル、スポーツの3種類。エコ・モードはパワーが絞られ、PRV V6ユニットが載っていた、オリジナルに印象が近くなる。同時に、エネルギー消費は最小限に抑えられる。

ノーマル・モードが、2024年の日常にはぴったり。気持ち良く加速し、リアタイヤがむずがる余力もある。

仕上がりにブラウン博士も驚く?

スポーツ・モードは、その名の通り。デロリアンは見た目に適ったスポーツカーになり、勢いよく加速できる。一部の高性能バッテリーEVのように、息が詰まるような速度上昇ではないが、上半身は柔らかいシートへ押し付けられるほど。

1980年代にこのパワートレインが存在したら、オリジナルの開発を率いたジョン・デロリアン氏も喜んだことだろう。スピードメーターには時速85マイル(約136km/h)までしか表示はないが、簡単に振り切れる。エキサイティングなほどたくましい。

エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)
エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)

本来のデロリアンは、アメリカ大陸向けのグランドツアラーといえた。快適性が優先で、操縦性に優れるわけではなかった。ボディはワイド&ロー。着座姿勢は、殆ど横になっているような感じだ。

パワートレイン以外は手つかずで、緩やかなコーナーへ控え目に侵入しても、ボディロールの大きさへ驚く。少し気張ると、ズルズルとアンダーステアが待っている。

新しいタイヤとサスペンションを組めば、操縦性もモダナイズされるはず。とはいえ、市街地を穏やかに運転している限り、このソフトな状態も悪くないけれど。

パワートレインの洗練度は非常に高く、エレクトロジェニック社の技術力に感心してしまう。ドラモンドのような人物がいるおかげで、近年のグレートブリテン島はエレクトロモッドの中心地になっている。

技術は日進月歩。来年はどこまで進んでいるのか、予想はつかない。しかし、このデロリアンの仕上がりには、ブラウン博士、「ドク」も驚くのではないだろうか。

執筆:アレックス・ゴイ(Alex Goy)

エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)のスペック

英国価格:−万ポンド
全長:4270mm
全幅:1950mm
全高:1170mm
最高速度:209km/h(予想)
0-100km/h加速:5.0秒(予想)
航続距離:241km(予想)
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1284kg
パワートレイン:電気モーター
駆動用バッテリー:42.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:218ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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