最新レストモッド フェラーリF355 GTS、レトロモダンに蘇る 420馬力の3.5L V8スーパーカー
公開 : 2024.07.17 18:05
フェラーリF355 GTSをベースとするレストモッドモデルが英国で発表された。オリジナルのデザインを損なうことなく、イアン・カラム氏の手によって現代的に仕上げられた。信頼性と性能が向上しているという。
オリジナルを損なわない現代的デザイン
英国の新興企業エヴォルート・アウトモビリ(Evoluto Automobili)は7月10日、フェラーリF355をベースにしたレストモッドモデル「355 by エヴォルート」を公開した。
著名なデザイナー、イアン・カラム氏によるスタイリングを特徴とし、オリジナルのクリーンなラインを損なうことなく、現代的な外観に仕上げている。現代のスーパーカーの「解毒剤」と謳われる。
フロントエンドは、大型のグリルとカーボンファイバー製リップを採用し、サイドライトとリトラクタブル式ヘッドライトはLEDユニットに交換された。リアエンドも同様の処理が施され、大型ディフューザーとリング状のLEDブレーキランプが装備されている。
ボディパネルをカーボンファイバー製とするなど軽量化を図り、目標重量は1250kgとされる。最終的な重量は顧客の希望する仕様によって決まるという。参考までに、ベースとなったフェラーリF355 GTSは1422kgだ。
シャシーはスポット溶接され、カーボンファイバー製ブレースによってねじれ剛性が23%向上しているという。こうした補強はサスペンション・マウントなどの主要ポイントに集中的に施され、ハンドリングと安定性を高めている。
V8エンジンは40馬力アップ 信頼性も向上
ミドシップ縦置きのV8エンジンも信頼性と扱いやすさに重点を置いてオーバーホールされた。点火システムの一新により正確な点火タイミングを実現し、出力とレスポンスを向上させたという。
シリンダーヘッドはエアフローを改善するためにポート加工され、特注のカムシャフトは高回転での安定性に寄与すると言われている。
エンジンとトランスミッションをつなぐクイルシャフトは、F355の弱点として知られているが、エヴォルート製の強化パーツに交換された。これにより振動とパワーロスを抑え、耐久性を向上させた。
また、チタン製等長マフラーが採用され、「エモーショナル」なサウンドを楽しめるという。
こうした改良により、3.5L V8エンジンの最高出力は380psから40psアップの420psとなった。このパワーを伝える6速MTは、改良によりシフトフィーリングが改善されている。
パワーアップに対応するため、サスペンションはワイドトレッド化し、ブレーキは最新のブレンボ製ディスクにアップグレードされた。サーキット走行用にカーボンセラミックブレーキも用意される。
安定性だけでなく、「遊び」の要素も含まれている。エヴォルート社によると、19インチホイールに公道志向のミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを履かせ、リアのスリップをある程度許容しているという。
355 by エヴォルートは55台が生産される予定で、価格はまだ明らかにされていない。顧客の好みに応じてボディカラーや内装をカスタマイズすることができる。